やっぱり21〜25章の書籍化を希望
★★★★☆
世界的に定評のある教科書で,内容については特に言うことはない。
どうしても気になるのは,本文21章から25章までの扱いだ。これらの章はpdfファイルとして附属のDVDに収録されているだけで,紙媒体に印刷されていない。原書の形態を踏襲したのだろうが,訳書では是非この部分を「追補巻」として書籍化してほしい。
日本では,まだデジタル情報をいつでもどこでも可読化できる環境にはなっていないと思う。電子書籍の普及も「これから」という趨勢だろう。やはり「紙媒体無し」は時期尚早だと思う。
加えて,訳書の読者には,専門の研究者や学生のような「ハードユーザー」以外の読者も多いだろう(ハードユーザーは既に原書を使っているだろうから)。いきおい,本書も調べたいところだけを参照する「辞書的な使い方」をされる機会が増えてくると思われる。目的の内容が印刷されていない章にあった場合,デジタルデバイスを利用できる場所へ移動して,機器を立ち上げて,・・というのは非常な手間に感じられる。こんな読者も想定して,最終章までの書籍化を強く希望したい。
ちなみに原書には,全章を印刷したReference Editionがあるが,訳書では現行本に含まれない部分だけの「追補巻」にしてほしい。現行本をもっている場合は追補巻のみの購入で済むように。