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さりながら

価格: ¥2,520
カテゴリ: 単行本
ブランド: 白水社
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引き裂かれた友情の合図 ★★★★★
作者は、パリから始まり、京都、東京、神戸と巡る。
小林一茶、夏目漱石、山端庸介の人生を巡る。
翻訳の日本語が端正で、もとから日本語で書かれたもののような肌触りと、しかし、日本人らしからぬ思考の流れとセンスとで、読んでいる私が迷子になる。
これは、下手な分析や解釈を拒む小説だ。読んで、味わえ。ただ感じるしかない。

作者がどの瞬間にも喪失し続けている愛娘の、その死へのまなざしに、繰り返し、繰り返し、繰り返し、さらされる。
大事な人を失ったのに、それでもまだ自分は生きている。死んだ人がいるのに、自分は生き延びてしまった。その人を救えなかった。生きているという罪責感は他者を失くした喪失感と一体である。しかも、その大事な死の記憶でさえ、人は忘却する。いかにして愛する記憶を保つべきか。
死について、特に近代から現代の死について、個人的な死について、思いを馳せる人に勧めたい。
センチメンタリズムの行方 ★★★★★
非常にセンチメンタルな私小説です。
4歳の娘を骨肉腫でなくし、打ちひしがれて日本を旅する作者であるフランス人が、日本の文化や文学の中で、自分を建て直しそうとします。
悲しみの中で私たちが見る思い出は、悲しく、救いのないように見えます。
悲しくて仕方なくて、何をしてもただ単に疲れてしまう。
自分の場所はどこの世界にもなく、自分の存在意義さえ失ってしまう。
その中で追い求めているものはいったい何なのか。
悲しみを単純に定義できませんが、この作品の中の悲しみははっきりとした理由をもち、そして、どうやっても救われないつらいものです。
そこから何を見るのか、そこからどこへ行くのか。
答えは出ませんが、私たちに何かを考えされてくれます。

露の世は 露の世ながら さりながら

この小林一茶の句を心の底から理解できるようになります。
つらくて仕方ないですが、心をつかまれて仕方ない私小説です。
さりながら ★★★★★
表題の『さりながら』とは、一茶の句の「露の世は 露の世ながら さりながら」から取られたものです。
この世は儚い、と判っていても、それでも心残りになってしまう様々な思い。
著者は『永遠の子ども』で病魔に冒された娘を失う実話であまりにも有名になりすぎた人ですが、今作では娘の死による癒えない哀しみと喪失は作品の底流を流れる背景になるにとどめています(そのことがよりいっそう哀しみを深く透明なものにしています)。

パリ、東京、京都、神戸と都市を移動する物語と、一見何の繋がりもない一茶・漱石・山端庸介の人生を描くことで紡ぎだされるのは“喪失・記憶・創作”とありますが、言葉にするのは難しく、ただもう凄いとしか言いようがありません。
喪失と無の中で二度とは再生出来ないような深い絶望に囚われても、人は時の中でかすかな希望のようなものをどうしても見出さずにはいられないのだなぁ…というのが個人的な感想です。

素晴らしい本ですが、私小説や日記文学を好まない人にはあまりおすすめしません。
難しいです。 ★★☆☆☆
週刊ブックレビューで取り上げられていたと思うのですが。。。
散文的で、エンターテイメントが好きな私には、ちょっと厳しいです。
ながくないので、すぐ読めてしまうのですが。