莫大な遺産を相続した令嬢リネット(ロイス・チャイルズ)は、親友ジャクリーン(ミア・ファロー)の恋人(サイモン・マッコーキンデール)と結婚し、新婚旅行でナイル川を豪華客船で下っていた最中、何者かに殺害された。かくして、偶然船に乗り合わせていた名探偵エルキュール・ポワロ(ピーター・ユスティノフ)の推理が始まる。
『オリエント急行殺人事件』に続き、英EMIが製作したアガサ・クリスティー原作(『ナイルに死す』)ミステリー映画第2弾。エジプトの魅惑的風景とオールスターキャスト、練りに練られた脚色、そして『タワーリングインフェルノ』のジョン・ギラーミン監督ならではのスケール感あふれる演出、巨匠ニーノ・ロータの壮大な音楽など、すべての要素がゴージャスに働き、見事なエンターテインメントに仕上がっている。初めてポアロを演じたP・ユスティノフは、これが晩年の当たり役となった。(的田也寸志)
豪華な娯楽映画の名作
★★★★★
高校時代にロードショーに行きましたが、立ち見のためだったのか、肝心のなぞ解きの時間に気分が悪くなり、最後まで見られずに同行した友人から、トリックを聞かされました。その後地上波などで何度か放送されましたが、画質も悪くカットだらけなので、念願かなって今回美しい映像で観ることができ、うれしかったです。
改めて見ると、出演者の豪華な顔ぶれと、衣装(オスカー受賞)とセットの豪華さ、そして当時としては珍しくエジプトロケ満載の、すごくゴージャスな映画でした。
特に殺されてしまうリネット役のロイス・チャイルズ(007ムーンレイカー、華麗なるギャッツビー、追憶など)の知性あるアメリカン・ビューテイーにまた目を奪われました。どう見ても、彼女を敵外視する周りの人間の方が明らかに俗物で、彼女が殺されてしまうことが可愛そうです。
ミア・ファローは、今見ても超個性的な女優です。彼女がフランク・シナトラの妻であったり、さまざまな有名人と浮名を流してきたことが、ものすごく不思議です。内に秘めた何か特別なものがウッディ・アレンなどにも、影響を与えたのでしょうか?
とにかく、70年代に見た映像よりもはるかに美しく、当時知らなかったデビッド・ニーブン、ベティ・ディビス・アンジェラ・ランズベリー・マギースミスなどの顔合わせも豪華だし、若きジェーン・バーキンとオリビア・ハッセーも美しかった。
自分の記憶にあった印象よりもずっと良くできた映画であり、犯人の動機にも無理がない秀作です。
理屈抜きですべての点で楽しめます。
オールスターキャストの娯楽ミステリー
★★★★★
最近では少なくなったオープニングの出演者のテロップはアルファベット順、というオールスターキャストです。エジプトの美しい景色や出演者のいぶし銀のような演技で、これぞ正月公開(公開当時はお正月映画でした)の娯楽映画です。 欲を言えば日本公開時のみニーノ・ロータの曲でなく「ミステリーナイル」というロック調のイメージソングがラストに流れていたので特典にその曲バージョンのエンディングもつけていただきたかった。
名作の醍醐味
★★★★★
最後に近づくにつれ、犯人の予測がついてしまうが、名優達の競演もあって、ラストまで飽きずに楽しめた。
ロイス・チャイルズは綺麗だし、オリビア・ハッセ-は可愛いし、マギ-・スミスは男装の麗人のようだし、デビット・ニ-ブンは姿勢がいいし、ミア・ファロ-は怖いし。あと、コントの王道を行くような船長も良かった。
日本語吹き替えがあるともっと嬉しかった。