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世界の歴史〈5〉ギリシアとローマ (中公文庫)

価格: ¥2,000
カテゴリ: 文庫
ブランド: 中央公論新社
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古代地中海世界の社会史 ★★★★★
 本書は1997年に刊行された世界史シリーズの一巻を2010年に文庫化したものであり、1943年生まれの女性研究者が旧石器時代からヘレニズム時代までのギリシア史を、1947年生まれの男性研究者が鉄器時代から西ローマ帝国滅亡までのローマ史を描いている。本書の特徴は以下の通りである。第一に、最新の考古学と歴史学の知見を突き合わせながら(暗黒時代における難民の移住、エトルリア文化形成論など)、古代史の大きな流れを描いている。第二に、地中海世界という枠組みの中で、ポリス(共同体国家)とローマ帝国の発展を考察している(大植民と地中海交易を通じたギリシアポリスの発展や、古代地中海諸文化のローマ帝国への流入、文庫版あとがきでの古代ギリシア人は東地中海での先進オリエント文明との接触の中で古代ギリシア人になったという指摘など)。第三に、ギリシア人のペルシア人観やペルシア王のギリシア人観への言及、ヘレニズム文化の捉えなおしなど、民族的偏見の問題についても言及している(文庫版あとがきではヘレネス概念の再検討にもふれている)。第四に、制度史に関しては言及が少なめであるように感じるが、そのぶん代表的な人物の実像(テミストクレス、ペリクレス、グラックス兄弟、キケロ、皇帝たちなど)や、当時の民衆生活(家族とジェンダー、テラからキュレネへの植民、ローマ人のクリエンテーラ、エヴェルジェティスム、奴隷制農場経営と小作人の相互補完関係、ポンペイの生活、帝国末期の宗教事情など)に目配りをしている。第五に、図も多く文章も比較的平易であるが、最近の研究動向の部分では説明が不足しているように感じた。とまれ、本書は古代ギリシア・ローマ史についての最新の平易な概説書としてお勧めできる。