江戸時代の着物の歴史が分かりやすくまとまっている
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どうも「江戸文化検定」の関連図書として販売された物のようですが、江戸時代の着物の歴史について、非常に分かりやすく、しかし専門的な内容も詳しく書かれています。現存する当時の着物や絵画(浮世絵含む)などもふんだんにとりいれ、本の副題「ビジュアル生活史」の名の通り、視覚的にも分かりやすい内容です。
内容は「流行の変遷」(江戸時代の着物の歴史)「生産と流通」(着物の原産地事情)「衣服の諸相」(身分や地域による着物の差異)となっています。身分によって入手できる着物の材質や、当時の洗濯方法、果ては着物自体のリサイクルシステム?など余り通常の「着物の歴史」本では触れてない内容が興味深いです。また「生産と流通」では他の着物入門本でも分かりにくい着物の産地一覧などが詳しく説明されていて、お奨めです。
個人的には「衣服の諸相」で独自の衣服文化を形成していた公家に触れていなかったのが謎ですが、それ以外はその当時の着物事情について生産から流行まで詳しく分かり、着物の歴史(但し江戸時代限定ですが)がよく理解できる本です。
一つ難を言えば、表紙の紙質を工夫することで、もうちょっと入門書らしくリーズナブルな物になったのではないかと惜しまれます。