必要だが、難しい戦略
★★★☆☆
本書は、なかなか難しいテーマを掲げている。プロや高段者にとっては違和感がない戦略という概念であるが、これを持って打っている方が果たしてどれほどいるのか。というのも、部分の定石や筋、死活に翻弄されて、それらを強化することがまず先決であるのが、アマ低段者の悩みである。また、それらの強化を実行するのが棋力向上の効果が早いからである。しかし、そのような勉強法ではボトムアップ型の限界が来てしまう。三段の壁や五段の壁は、そのようなトップダウン型の思考が欠如しているためというのが理由の一因かもしれない。
戦略を解りやすく記述してあるのが本書である。難しいと感じる方は、その部分が欠如している証拠として認識するべきであろう。本書を理解すれば棋力の壁は突破できるはずであるが、問題は理解できるかどうかである。本書の使いかたが難しい。