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進化論の挑戦 (角川ソフィア文庫)

価格: ¥660
カテゴリ: 文庫
ブランド: 角川書店
Amazon.co.jpで確認
疑問点は残る ★★★★☆
角川書店から1997年に出版された同名の本に一部加筆修正を行なって文庫化
したのが本書である。

著者の東京大学での講義はネットで無償公開されており、興味がある人はそ
ちらを参考にしてもよいだろう。
(参考:http://ocw.u-tokyo.ac.jp/course-list/interfaculty-initiative-in-information-studies/evolution-ecology-infomatics-2005/movies.html)

本書は、進化論的な観点を、それまで自然科学では扱えない(扱わない?)
とされていた領域へ拡大していくことの重要性を主張する。ただし、遺伝的
決定論のように人間の行動はすべて先天的にプログラムされているという主
張ではない。
人間の適応は、遺伝子だけでなく社会制度の形成によってもなされるという
立場に立っている。例えば、人間の共同体における社会生活も、サルの集団
生活の進化形としてとらえることができるというわけだ。人間の文化は、遺
伝子には刻まれない情報ではあるが、集団的に受け継がれていくものなので、
進化論とは親和性が本来は高いはずである。ただ、社会生物学の人間への適
応は遺伝的決定論とみなされることが多いようで、著者の嘆きの声もつづら
れている。

意図するところが、進化論の応用に関する研究の大枠を提示することであっ
たため、個々は浅いが、広い範囲を扱っている。あとがきをみると、広さ
についてもまだまだ書き足りないところがあったようだ。興味がひかれた人
は、末の文献リストを参考にして読み進められるようになっている。
また、文章は非常に平易でわかりやすく書かれている。読者を飽きさせない
ように小噺?があったり、例え話を用いたりという工夫がなされている。そ
のため、内容が濃すぎて頭が疲れるということはないと思う。他の方のレビ
ューに「スタイルとして合わない人も多いと思う」とあったが、おそらく小
噺や例え話を多く挿入しているからだろう。個人的なところで言えば、特に
嫌な気はしなかった。

広く浅くなので、疑問点が頭に浮かんでは次の話次の話と進んでいく。その
ため、読み終わったときに「なるほど!」「いままでつながらなかったもの
がつながった!」というような爽快感はそれほどない。むしろ、「こう書い
ているけど、何か納得できない…」「大枠は何となくわかったけど、ここを
もうちょっと説明して欲しい…」という不完全燃焼さが残った。
(私の頭が固いということもあるのかもしれないが、)それだけ興味をそそ
る良い入門書だといえる。
わかりやすすぎる ★★★★☆
 1997年に角川選書として出たものの文庫化。
 著者は科学史としての進化論、現代の問題としての進化論についての研究者。一般読者のための啓蒙書が多く、日本版スティーヴン・ジェイ・グールドといったところか。
 本書も非常に分かりやすく、お洒落に書かれている。誰が読んでも理解できるし、進化論が現代という時代において極めて重要なことが伝わってくる。ダーウィンおそるべし、という感じである。
 ただ、スタイルとして合わない人も多いと思う。わかりやすすぎるし、なんか妙にお洒落なのだ。
面白い! ★★★★★
著者は科学史などを専門とする方で本書以外にもいくつか類書があるが、その中でも本書がもっともスリリングで面白い。初版が出版されたのが平成9年で内容は少し色あせた感があるが、ダーウィンの自然選択説から総合説とよばれる現代進化論までの歴史にはじまり、社会生物学論争、優性思想、フェミニズム、果ては進化心理学、進化倫理学にまで話が及ぶ。盛りだくさんな内容でいずれも歯切れの良い議論が心地よい。参考文献もきちっと挙げられており、本書を足がかりにして興味のあるトピックを更に掘り下げるのも悪くないだろう。博学な著者ならではの1冊である。