京都議定書の影響で、いまエコビジネスなんかも注目されている。でも、そもそも環境問題とは何か。けれど、そういわれると「…なんだかなぁ」と思うのが一般人の現状。まず、著者はこの現状分析を行う。
A「自然と人間、どっちが大事?」という二者択一(二項対立)の泥沼が、我々をゲンナリさせている。
B 政治的エコロジーは不当に人間中心主義を歪曲している。「地球にやさしい」なんてメッセージは二重の欺瞞を犯している!
これら二つの原因に進化生物学の視点からメスをいれ、新たな人間中心主義を提示する。それは人間がDNAメタネットワークの一環であることを積極的に提案するものである。
具体的には、本書の構成でいうと以下の通り。
Aに対しては、2章で二項対立の無効性を述べ、5章・6章で新しい環境図式「遺伝子と脳とコンピューターの三角形」を提案する。
Bに対しては、3章で神秘的な全体論を攻撃し新しい価値の提案が何であってはならないのかを明らかにする。
もちろん「そもそも環境問題って…」という問いにも、ちゃんと4章・5章で答えています。
この本、いまから十年近く前に出たんですね。多少の古さは否めないけど、著者の引用するエピソードや体験談、その語り口には人を惹きつける柔らかい魅力があります。
(でも、DNAメタネットワークって、説得力あるかなぁ…)