アニメの教科書 下巻: 岡田斗司夫の『遺言』より
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【注 意】
この電子書籍は、2010年10月、筑摩書房より刊行された『遺言』(岡田斗司夫:著)を底本とし、改題、電子書籍化したものです。仕様上の都合により適宜編集を加えています。
なお、電子版上巻では『遺言』の第1章から第3章まで、電子版下巻では『遺言』の第4章から第6章までを収録しました。
【内容紹介】
岡田斗司夫とガイナックスは、いかにして数々の傑作を生みだしてきたのか? 各作品の舞台裏からテーマ、さらにはクリエイター論まで、すべてを詰め込んだ一冊。
「創作論」にして、「作品論」にして、「ビジネス書」にして、「歴史書」にして、「オタク論」にして、「伝説のエピソード集」にして、「思想書」にして、「心に火をつける本」にして、「雑学本」にして、「物語」にして、著者の集大成です。書いておきたいこと、書く価値があること、全部入ってます。だから、『遺言』です。――「たぶん、これまでの僕の本で一番面白い」(「はじめに」より)
【著者からのコメント】
こんにちは、『アニメの教科書』の著者、岡田斗司夫 FREEex です。
この本では、ボクがガイナックスという会社で作ったアニメ、例えば『王立宇宙軍〜オネアミスの翼』や『トップをねらえ!』、『ふしぎの海のナディア』、それとその前の「DAICON FILE」というアマチュアサークル時代に作ってきたアニメに関して、それらの「作品のテーマ」について書いています。
「テーマ」というのは、よく「テーマは愛だ」とか「友情だ」といって、作品の内容とはあまり関係ないものみたいに言われるんです。「テーマは関係ありません。観た人が感じてくれればいい」という作家もいますし、そうではなくて「このテーマを感じて欲しい」という作家もいます。それはなぜかというと、作り手にとっての大きなテーマの一部分でしかないからなんです。
この『アニメの教科書』という本の中では、これまでクリエイターたちが心の奥底では意識していながら今まで言語化できなかった、もしくはひょっとしたらもっとちゃんと意識した人がいたかもしれないが今まで話さなかった「なぜ作品にはテーマが必要なのか?」、それとそこから見えてくる色々な作品の見え方、作り方ということについて語ってみました。
単にアニメやマンガの作り方とか内輪話だけではなく、いわゆるビジネス的にも読めるし、人生論っぽくも読めるとこもできるようにしたつもりです。
『新世紀エヴァンゲリオン』の庵野秀明さんとか、『機動戦士ガンダム』の富野由悠季さんとか、『宇宙戦艦ヤマト』の西崎義展さんとか、いろいろなアニメ業界の伝説的な面白い人物の楽しい話もいっぱい出てきますので、ぜひ読んでください。よろしくお願い致します。
【目 次】
■第4章 「新しいこと」と「作家の責任」
・パソコンゲームに「綺麗なグラフィックを持ち込む」
・三世代計画
・本編よりスゴイ! 付録の「日本史教科書」
・核ミサイルも脱衣する
・世界初の育成シミュレーター『プリンセスメーカー』
・「喪失の物語」が持つ感動
・新しいことは出来る。でも、売れない
・『ヤマト』の誘いが来る
・富野由悠季のものすごいヘンさ
・「滅びゆく恐竜」西崎義展
・「プロデューサー絶対時代」から「作家主義」へ
・受け止められなかった「西崎義展」
・「表現の自由」は二十世紀後半の思想
・強い人間の悪さ、良い人間のずるさ
・「納得できる価値観」をどう設定するか
■第5章 プロデューサーの役割、クリエイターの仕事――ナディアの舞台裏
・「貞本義行監督案」が出るまで
・国会で決められた「動画や撮影は韓国に発注せよ」
・プロデューサーの作り方
・「後半戦になったら生きてくる」キャラの置き方
・悪の組織をマヌケにしないためには……
・ブルーウォーターに込めるつもりだった設定とテーマ
・「矛盾点をなくす」よりも「心の温度の管理」
・使われなかったエンディング
・神様は人間から勇気をもらっているのかもしれない
・プロデューサーではもうこれ以上はできない
・「岡田斗司夫最後の著作」
・予算とスケジュールを二話目までで使い切る
■第6章 「わたし」と「セカイ」の物語――物語とは何か
・なぜ宮﨑勤が「俺たちの代表」なのか?
・いい女(男)はみんな「あっち側」にいる……
・企画をこじらす山賀
・山賀の(幻の)最高傑作『ウィザード』
・「幻」しか見せられない
・「完璧なラスト」まで出来上がったのに……
・実現率の低い「企画天国」
・「岡田さんなら無理な要求をしてくれるでしょ?」
・ロボットでやる時代劇『ベル銀伝』
・ディズニーの地下
・観客を否定してお金をもらってはいけない
・「世界をよくする」という責任
・クリエイターは博徒である
■メイキング・オブ・『遺言』
■電子版おまけあとがき
<以下、上巻より>
■はじめに
■第1章 すべてはDAICONから始まった――『DAICON FILM』と『王立宇宙軍〜オネアミスの翼』
■第2章 「本物」の感動とは何か――『トップをねらえ!』で挑戦したこと
■第3章 会社としてのガイナックス、歴史概観
2014/06/20 第1版 発行
2014/12/23 第2版 一部誤字を修正