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国際正義の論理 (講談社現代新書)

価格: ¥756
カテゴリ: 新書
ブランド: 講談社
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国際正義がわかったぞ ★★★★★
国際正義って、各国がそれぞれの思惑で勝手に主張しているからまとまりがないだろう。その中でも、軍事・経済大国であるアメリカの発言権は大きく、力のある国の主張が国際正義になっているような気がしていた。

そもそもキリスト教では、「正義を他人に施す」などは神の振る舞いであるから、そんなことは許されない。消極的な正義と平和の理念だ。ところが異教徒、不信心者には容赦なく、十字軍の傍若無人振り。ローマ・カトリックに反旗を翻したルターは、教皇やローマは悪い奴らだと触れ回って、万人司祭論をぶち立て、個人の主観化を適当にまとめる改革派教会を作った。これが、領土に根ざしたもので、その対立から16,17世紀の宗教戦争につながる。その結果、宗教属地主義となり領土的正義がまかり通るようになった。そして現在に至る。

ヘーゲルは勝者は歴史的に必然性があったから勝ったのだなどと戦争の正義を唱えた。さて、現在、世界の動向はというと、「人権」、「貧困」、「環境問題」それぞれに対しカントの言う世界共通の商業ルールに基づくステークホルダ(利害関係者)的な観点から援助の動きがある。何もしないで黙って知らん振りしているのは正義ではないと考えられるようになってきた。おりしも安保理で核廃絶を採択、G20で世界経済の不均衡を監視する体制を採択と、世界が協調する姿勢が見て取れる。一国の独善的な思考による正義は過去のものになりつつある。

疑問であった国際正義の成り立ちから歴史、現在の世界各国の考え方が良く分かったぞ。
国際正義の論点をコンパクトにまとめた好著 ★★★★★
新書ではあるが決して読者受けを狙って変にゆるめた書き方はしておらず、誠実にかっちりと書いている。
読み手によってはそれを難しいというのかもしれないが、私の感想としてはむしろ「中身の詰まった好著」という印象であった。

ただでさえ正義の問題はややこしいのに、それが国境線の問題と絡んでいるので、非常に難しい。
戦争、人道的介入、正戦、貧困の救済・・・国際正義の問題は随所に存在する。
本書では、そうした問題に正面から挑んでいる。
そして決して安直な回答には走らず、複雑な問題に対して粘り強い思考を続けている。

本書ではさまざまな思想家が取り上げられており、また巻末の参考文献も一般所並みにきちんと書かれているので、さらに知りたくなったら次の本を容易に探せるようになっている。
国際正義を考えたい人はまずこれを読んで、自分の興味のわいた人や分野の本を次に読むといいだろう。
国際公共哲学入門書 ★★★★★
この書は、おそらく我が国で初めて本格的に書かれた国際公共哲学入門書であることは疑いない。ロールズ、ポッゲ、セン、ヌスバウムなどの規範理論と、人道的介入などの事例研究の双方が盛り込まれており、まさに買い得の新書と言える。この書の刊行を契機として、日本では数少ないこの分野の研究者が排出することを期待したい。
正義という名の妥協点 ★★★★★
正義という概念がどのように変化してきたのかが明快に語られています。正義とはある価値観集団内の約束事であり、この価値観集団が別の価値観集団と接触するとき、正義(約束事)も変貌していかざるを得ません。世界各地、そして私たちの日常生活の中にも存在する様々な正義観は、今日のグローバリゼーションの中でかきまわされ、激しく衝突しあっています。その結果、今日の正義はますます「妥協」という言葉で置き換えてもなんら差し支えない状況となってきています。世界的なグローバリゼーションの中で、お互いに妥協しあえる世界的正義観は果たして生まれてくるのでしょうか。またたとえそうした正義観が生まれてきても、それは、私たちが日常生活の中で用いている「正義」とは大きく異なる異形のものとなっていることでしょう。様々な国の人々がどの程度までそうした「正義」に納得できるかどうかは今後の国際関係を考えていく上でとても重要な点です。もちろんその場合、どうしてもそうした国際正義を受け入れることができない人々もたくさんいるということも忘れてはなりません。
隠れた良書 ★★★★★
他のレビューで新書にしては難解とか書かれてますが、いや新書ってこんなもんでは(新書の中では中の上くらいのレベル?)。少なくともムダに難解な専門用語を乱発したり、飛躍があったりではない。「国際正義」などというテーマの割には分かりやすくまとめてあるように思う。

前半は古代コスモポリタニズムから始まり、宗教改革、十字軍、世界大戦など世界史の重要な出来事を辿りつつ、そうした背景から生まれたホッブズ、カント、ロールズ、センなどといった思想家・学者の思想を紹介し、グローバルな正義や規範の変容を描いていきます。
また後半では現代の問題に重点をおいており、「正しき介入の条件」や国際的な格差の生まれた背景やその解決の困難さについて詳しく書かれていて、非・民主制の国家や途上国への安易な介入についてなんとなく懐疑的だったけどなぜかと聞かれるとうまく説明できなかったが、本書を読んでナルホドと納得できました。