インターネットデパート - 取扱い商品数1000万点以上の通販サイト。送料無料商品も多数あります。

初期研修医・総合診療医のための小児科ファーストタッチ2018

価格: ¥0
カテゴリ: Kindle版
Amazon.co.jpで確認
 これから小児科を研修する先生にぜひ学んで欲しいことを1冊にまとめました。これは兵庫県立柏原病院の研修医ミーティングで、実際の初期研修医から「こんな小児科研修をしたい」という要望に答えるために、卒後10年目の小児科専門医が書いた本です。

 研修医の多くが「外来に子どもが来たときに、一人で対応できるようになりたい」と述べました。彼らは将来、内科医・外科医・総合診療医・救急医となることを目指しつつ、それでも「子どもの初期対応くらいは自信を持ってできるようになりたい」と考えていることが柏原病院の研修医ミーティングで明らかになりました。「外来に来た子どもに、まずは何をするべきなのか」というテーマに初期研修医は強い関心を持っています。

 彼らに必要な教育は、入院患者に対する専門的な治療よりも、小児科外来や救急外来における「子どもへのファーストタッチ」であるように感じています。将来、内科医・外科医・総合診療医・救急医になることを目指している研修医にとって必要な知識は、以下の6点です。
 ① 適切なファーストタッチ
 ② 検査が必要な基準と適切な検査項目
 ③ 帰宅させる基準
 ④ 処方や処置
 ⑤ 再診のタイミング
 ⑥ 入院させる基準または小児科専門医に相談するタイミング

 この6点に特化した教科書は、小児科領域に現在存在しません。外来小児科学の教科書は非常に詳しく、将来小児科医を目指す研修医には適切ですが、内科医・外科医・総合診療医・救急医を目指している研修医には専門的過ぎます。

 この本は初期研修医が抱くであろう「救急外来に来た小児に対してどのようなファーストタッチを行い、どのタイミングで小児科専門医に相談するか」という疑問に対して書きました。ファーストタッチというのは、どのような病気を考え、どのような検査と処置を計画し、どうなれば帰宅、どうなれば入院になるかということを頭にしっかり思い浮かべながら、問診と診察と検査をすることです。鑑別疾患を広く考え、見落としなく診療を進めて行くことが大切です。そのため総論では大切なことを何度も繰り返し書いています。
 また、ポケットリファレンスとしての機能を果たすため、各論はシンプルに記載しました。小児科研修の後半になって、または総合診療専攻医として、ある程度診断能力が向上し、鑑別疾患はスムーズに立てられるようになれば、本書の各論はポケットリファレンスとして機能するでしょう。

 入院を要する疾患の治療についても簡略して記述しました。これは、入院後の治療をある程度知っておくことで、外来での対応をスムーズに行うことを目指したためです。入院後の詳細な管理のリソースとして、本書は適切ではありません。本書はあくまで「救急外来に来た小児に対してどのようなファーストタッチを行い、どのタイミングで小児科専門医に相談するか」を目的に書かれています。

 小児科医が偏在、不足する中、子どものファーストタッチが小児科医ではないという地域は今後増えていくと思います。自信を持って子どもへのファーストタッチを行える内科医・外科医が増えてきてくれると、私たち小児科医の仕事も楽になります。小児科専門医ではない先生が、自信をもって子どもにファーストタッチできるようになるために本書は書かれました。くどいくらいに教育的な総論と、シンプルな各論を併せ持った本書が、その一助となることを願います。

 なお本書では、内容を鮮明にするため「過言ではない」「考慮する」などのあいまいな表現を極力使いません。その結果、内容が極端になっている点がありますことをご了承ください。

 本書の使い方
 ① 小児科研修の予習に:小児科を研修する前または研修中に、遭遇する頻度が高い症候・疾患(★4つ以上が目安)をあらかじめ学習しておく。
 ② 外来のお供に:主訴が発熱、咳嗽の児を診る場合、診察前に総論の「発熱」と「咳嗽」のページを読んでから診察を開始する。診察後「上気道炎」「クループ」「下気道炎」が鑑別疾患に加われば、その項目も読んでから検査オーダーを出す。
 ③ 熟達度に合わせて:小児科研修の序盤では、鑑別疾患の見落としがないように総論のページを見ながらしっかりと鑑別疾患を立てる。小児科研修に慣れてきたら、ある程度自分で鑑別疾患を立てておき、各論のページを見ながら検査や治療方針を決める。
 ④ フィードバックに:小児科研修中に経験できた症候、疾患について、本書の目次のページに印をつけておく。研修終了時に目次を見ながら、小児科研修を振り返る。

 本書の目次
【総論】発熱、咳嗽・喘鳴・嗄声、腹痛、嘔吐・下痢、血便、頭痛、胸痛、発疹、けいれん
【呼吸器】上気道炎、気管支炎・肺炎、細気管支炎、クループ
【感染症】溶連菌感染症、アデノウイルス感染症、インフルエンザ、RSウイルス、ヒトメタニューモウイルス、手足口病・ヘルパンギーナ、ノロウイルス・ロタウイルス、突発性発疹、伝染性単核球症、マイコプラズマ感染症、単純ヘルペスウイルス感染症、おたふくかぜ、水痘、百日咳、中耳炎、伝染性膿痂疹、肛門周囲膿瘍、化膿性リンパ節炎
【消化器】ウイルス性腸炎、細菌性腸炎、腸重積、過敏性腸症候群、便秘
【神経】無菌性髄膜炎、細菌性髄膜炎、熱性けいれん、けいれん重積、胃腸炎関連けいれん、無熱性けいれん、起立性調節障害、片頭痛・緊張型頭痛
【腎・尿路系】尿路感染症、急性腎炎、ネフローゼ
【アレルギー】アナフィラキシー、食物アレルギー、気管支喘息発作・喘息性気管支炎、アトピー性皮膚炎・乳児脂漏性皮膚炎、多形滲出性紅斑、じんましん
【外因】熱傷、頭部打撲、異物誤飲
【その他】川崎病、熱源不明熱、特発性血小板減少性紫斑病、IgA血管炎、糖尿病性ケトアシドーシス、心筋炎、PALS