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グルジア現代史 (ユーラシア・ブックレット)

価格: ¥630
カテゴリ: 単行本
ブランド: 東洋書店
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グルジアの政治面の沿革を知るのに良い本 ★★★★☆
学者・研究者というものは(東欧に限らず)、研究対象とする国への思い入れのあまり偏った見解を示す事が相対的に多いのだが、前田氏は非常にバランスある記述を心掛けているように感じられる。アブハジア、南オセチア紛争の概略も知れる。グルジアの政治面の沿革を知るには良い本だ。

「バラ革命」によるシュワルナゼ失脚の背景にあるのが、巷間で言われていたような、単なる「ソ連型政治への人々の批判精神と、民主化革命への希求」といった単純なシナリオではない事が見えてくる。実際、サアカシヴィリもそれなりに強権的であって、共闘していたニノ・ブルジャナゼが袂を分かつ結果を招来している。

ウクライナにはユリヤ・ティモシェンコが出て、グルジアにはニノ・ブルジャナゼが出ている。ロシアに対して対立も辞さないものの、対立一辺倒ではない実利中心の外交を志向するしたたかさを備えているのが両者に共通している。いずれも女性政治家であるところが興味深い。

ただし、「現代史」と銘打つ割には、政治史が中心であり、現代グルジアの文化面やグルジア正教会についての記述にはかなりの弱点が見受けられる(というより殆ど書いていない)。ユーラシア・ブックレットによる、グルジアを含むコーカサス関連分野の出版拡充を期待したい。