まじめに演技を勉強したい人にこそお薦めしたい作品
★★★★★
なんともレベルの高いDVDが出たものだ。
「スタジオライフ」なのだ。「早くトーマの心臓を出せよ、トーマの心臓を!」と逸る気持ちをよそに出たのはシェイクスピアの「十二夜」・・・しかもなんとA公演B公演の2公演(各約160分)を丸ごと納めた信じられないほど豪華な一本となった。
A公演はスタジオライフですでに馴染みのメンバーによるベテラン組とでも言おうか。主演の山本はすでに貫禄が感じられるし舟見・石飛には円熟ささえ感じる。フェステに山崎というのも豪華だ。安心して見られるA公演は、完成された古典的舞台を心置きなく楽しむことができる。
そして注目すべきはB公演。主演の松本慎也は「スタジオライフの月川悠貴」と称される超美形の女形だ。セバスチャンの関戸とのコンビネーションもいいし、そこに先輩女形の大輪の花、及川健が絡むのだから見ていてゾクゾクしてくる。最後まで迫力溢れるスリリングな舞台が展開される。
オールメールのキワモノからスタートした感もある彼らだが、俳優としても一級品なのだということを思い知らされる。ここには最近巷に溢れる学芸会のようなお遊びは一切存在しない。
本気でシェイクスピアを楽しみたい、お遊びではない舞台を満喫したい人にお薦めしたい一本だ。ちゃんと演技を研究している俳優たちだけに、両公演を比較することで、各俳優の役作りの妙とか工夫というものを窺い知ることができる。特に舟見と及川の違いに注目。そこには実に緻密に計算された役作りを見ることができるはずだ。
(レビュー:風見)