先輩にあたるダミアやエディット・ピアフ(個性の違いはあるかもしれないが、バトンはしっかりと渡っている)と同様に、カースは不思議な力を持っており、弱さをさらけ出すことでリスナーをノック・アウトし、過激な表現で可愛さを振りまく。その結果、洗練された音楽が、たった今生まれたかのようなナイーブさを持つことになるのだ。フランスのお国柄のせいか、愛の手練手管を魅惑的に描くあまり、それだけに終始してしまった感もある。しかし、セックスに関する赤裸々で無意識的なオブセッションを扱うことにかけては、フランス人の右に出る者はいない。月並みなキャバレー・ソングなどかすんでしまいそうだ。(Christina Roden, Amazon.com)