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モッキンポット師の後始末 (講談社文庫)

価格: ¥550
カテゴリ: 文庫
ブランド: 講談社
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あんたらアホや ★★★★☆
図書館にあるとは思いますが、だいぶ古い本なので手元に置きたいという方は、ぜひ買ってみてはいかがでしょう。昭和の香りが満載です。
内容は、だめだめな主人公と友人のアルバイト奮闘記です。奮闘といってもだめだめなやつらなので、毎回モッキンポット師がしりぬぐいをするのです。
どうしようもない奴が周囲にいる人は、「あんたらアホや、アホの面倒を見ているわてかてアホや」と怒りながらもお世話をするモッキンポット師から、なんともいえない力強さをもらえるのではないでしょうか。少なくともわたしは、「なんとかなるか」という気になれるので、たまにページをめくります。感動する内容ではないのだけど、お守り的な本です。
今回は、ジーンときました。 ★★★★★
巻末に著者による年譜が付されています。
それによると、中学生になった頃、シェイクスピアに熱中されているんですね。
これで、随分と合点がいきました。
シェイクスピアを読むと井上ひさしさんが、井上ひさしさんを読むとシェイクスピアを想起してしまうのです。
それは、お二人の作品を読む楽しみの一つ、駄洒落と比喩(譬えというべきか)の羅列にあると思います。
本書は、放送作家であった著者が、小説へ転進した初期の作品です。
「ひょっこりひょうたん島」の作者が書いた小説、という見方が当時は濃かったように思います。
その期待通りに、ユーモアの中にちょっぴりペーソスを配分した愉快な文学は一気に国民文学になっていったように思います。若い人たちに受け入れられたように思います。
久々にモッキンポット師と小松君たち3人組とお会いして、今回は、ジーンときました。
先日の訃報が頭をよぎります。
騒動を巻き起こしては迷惑ばかりかけられているモッキンポット神父が、3人を決して見捨てようとしない姿に、聖書の言葉が重なります。
井上ひさしさんも、ずっと日本人を信じ続けていたように思えます。ご冥福をお祈りいたします。
この破壊的造形の感性 ★★★★★
 井上ひさしの作品群の中でもとりわけ好きなのがこの一冊。とにかく笑える。笑いの種類は色々。シンプルに哄笑あり、
なにかとある性の暗喩・隠喩にニタニタ笑い、ブラックな感覚にほくそ笑み、なんだかんだで最後は微笑に顔がほころぶ。
それをもたらすのは、カトリック学生寮の仲良し三人組の悪行の数々。一般通念を破壊する。それらに高みからゆるしを与え、自身は
腰を低く東奔西走する人の好いモッキンポット神父。その破壊的造形が美しいなあ。
この感性は何にでも白黒つけたがる人種には下品に映るだけかもしれない。つまり、壊れたら作り直せばいいじゃないかと
簡単に口にする人種のことだ。この一冊に代表される井上ひさしの感性はもっと自由だ。悪く捉えれば開き直りにも似るが。
破壊されたままでもやってけるし、そもそも破壊の概念すらない。もっと刹那的。
それは理屈をこえた理屈であって、明けない夜はないと言われても朝がきても苦しいだけだし、いつかは天国にゆけるなんちゃらの
教訓は、すでに地獄に住んでいる奴には関係ないし、100回失敗しても101回目成功すれば良いと言っても101回目が必ず用意されている
保証はどこにもない訳で、、、兎に角瞬間的な美学。深遠なテーマも見出せるが、シンプルに刹那的に捉えた方が青春・友情ものとして
素直に楽しい。
著者は、あとがきにかえてのメッセージで、現代人は誰でもが英雄と説いている。これは先見の明ある風刺。どんどんそれは加速して
何か当たり前のことすらストイックになりすぎた。精神的余裕は失われ、それが昨今諸問題として噴出したりした。ただ少しだけ
揺り戻された感が出てきたところ、著者は逝ってしまった。この一冊、この作家、今一番再評価されて然るべきだろう。
テレビ化されて『ボクのしあわせ』になりました ★★★★★
 本作や井上ひさしのエッセー『家庭口論』などを原作にしてフジテレビ系列で放映されたのが、石坂浩二主演の『ボクのしあわせ』でした。放映日は1973年8月6日(月)から12月24日まで。面白いのも道理で演出がテレビマン・ユニオンの今野勉と村木良彦。音楽は佐藤充彦,主題歌「お熱い娘たち」は作詞・橋本淳、作曲・筒美京平でした。主人公・石坂が井上ひさし役で、妻・好子さん役は小鹿ミキ。毎回の副題には「お熱いのがお好き」だの、「暗闇でドッキリ」だの「明日に向って撃て!」だの映画のタイトルがつけられていました。これで見たくならなかったら、どうかしていますね。原作はちょっとジメジメしているのですが、テレビドラマの方は軽いノリで作られていて、レギュラーもゲストの顔ぶれも豪華でした。スタッフとキャストのみなさんが新劇風なドラマではなく、現場主義的な新しいテレビドラマを作ろうと張り切っていたんだと思います。挿入歌に石川セリの「八月の濡れた砂」や野坂昭如の「黒の舟唄」が使われた回もありました。
 ちなみにモッキンポット師役は三谷昇でした。いまから37年も前ですが、ビデオが残っていたら是非DVD化してほしいですね。
「貧乏」を笑い飛ばせ ★★★★★
この頃の日本は貧しかった。だから誰もが貧乏と戦う「戦い方」を知っていた。一人で食えなければ、三人寄ってなんとか食いつないだのだ。ときに本書の三人組のように大失敗することもあったけれども!貧乏なことは恥ではなかった。だから「食うがため」に三人組がやらかすドタバタは、底抜けに明るい哄笑となる。

翻って21世紀の日本。彼らと比べて我らはなんと豊かであることか。だが、豊かになったがゆえに「貧乏との戦い方」を私たちは「ど忘れ」してしまったようだ。「格差社会」とやらの前で、立ちすくんでいる。

貧乏と戦う戦い方は、笑うことだ。

筆者は今年、鬼籍に入られた。あの世から今の日本人をそう叱咤してくださっているような気がしてならない。