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富士日記〈上〉 (中公文庫)

価格: ¥980
カテゴリ: 文庫
ブランド: 中央公論社
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ヴィヴィッドな女の魅力 ★★★★★
「どんな風につけてもいい。何も書くことがなかったら、その日に買ったものと
天気だけでもいい。面白かったことやしたことがあったら書けばいい(略)」と、
夫・武田泰淳氏に言われて書き始めた山荘での日記。
書いてあることは本当にそのとおり。それだけだ。

なのになぜ、「富士日記」はこんなにもおもしろいのだろう。
大正14年生まれの人なのに、世代のずれを感じない。
古びたのはその背景にある時代だけだ。それはそれで興味深いけれど。

一番最初に読んだ時、森茉莉さんに似ている、と思った。
無垢。幼いこどもが真実を言い当てるような鋭さ。
ただ同じ無垢でも、茉莉さんの夢の世界に対し、百合子さんは現実。
百合子さんの世界には、生活人としてのたくましさや、夫への深い愛情とやさしさ、
日々見出すユーモアなどが一緒に存在していて、ヴィヴィッドな力強さがある。

ガラの悪い男と言い争いをした後、事なきを得て安堵した娘さんに、「ぶちにきたら、
卵全部投げつけて、それから車のチェーン出してふりまわしてやろうと思って」と
うちあけたという百合子さん・・・面白すぎる!
この日記を楽しむにはもう少し年を重ねることが必要かもしれない ★★★★☆
著者の夫は武田泰淳(たけだ たいじゅん)氏。作家。
僕が読んだことがあるのは『ひかりごけ』のみである。
この日記は、ご夫婦が娘さんと一緒に避暑地として暮らした、
富士の見える河口湖畔の山荘での暮らしを淡々と綴った日記である。
地道に暮らすことの豊かさ、なにげない日常の中にある幸せ、
自然の美しさなどを、たくまざる穏やかな筆致で書いている。

だが、僕がまだその境地に至っていないからだろう。
「昭和の文豪たちは別荘を営める豊かな暮らしをしていたんだろうなあ」
などと下司な感情がさきにたってしまうのである。心狭いことである。
この本はもう少しの間本棚にしまって、
僕の年がこの日記の心情に追いついてから読むことにしよう。

繰り返し読みたい本 ★★★★★
著者はよく食べてよく眠ってよく喋ってよく怒ります。それらは誰にでもある日常や感情のはずなのに、読むとぐいぐい迫ってくるというか、生きることはすごいことだなと感じさせられます。
裏表紙のところに、「一瞬一瞬の生を、澄明な眼と無垢の心で克明にとらえ天衣無縫の文体でうつし出す…」という、出版社の解説? 内容紹介?がありますが、これはむしろ言葉を飾りすぎているというか、蛇足のような気がしました。というより、どんな言葉でもレビューでもこの本の魅力をあらわし尽くすことはできないような…。
全三巻中、まだ一巻目を読み終えたところですが、繰り返し読みたい日記になると思います。
気ままで、飾らない。理想的な生活 ★★★★★
出版するために書かれたものではないらしく、
日々、ただ淡々と家族の様子を綴っています。
何事もない平凡な日々の記録にこんなにも幸福を感じられることに驚きました。
毎日の献立や買い物メモなどが中心で、
うどんとトーストを一緒に食べたり、
すごく食べ合わせが変な日もある。
けど、その気ままさ、おおらかさが妙に心地よくて、
その辺にこの作品の人気の秘密があるんだろうなぁと感じます。

百合子さんはさっぱりしてて気持ちのいい人。
よく食べて、面倒見が良くて、料理上手、
素晴らしい観察眼、そしてユーモアもある。
百合子さんの人間性にいつしか読者はひかれてしまいます。

周囲の人々と仲良く助け合って、
家族だけでなくみんなと生きていることの楽しさが伝わってくる。
劇的な展開なんかまったくないし、
どんどんページを読み進めたいというわけでもない。
「面白い」とかそういうんじゃなくて「なーんか好き」。
心の奥にずっと大切に抱いていたいような本です
足が地に着く。 ★★★★★
皆さんが言うように、不思議な魅力を持った日記です。読むと、とても落ち着く。なにか、宙に浮いていた足が、地に着くような(私にとって)作用があります。東京での生活が書いてないので、どうしてたんだろうと、頭をめぐらしてみたり。お勧めです。