筆者の疫学に対するストイックな精神の一面が垣間見られる本です。
特に、脚注にはユーモアあふれるネタも満載で、背表紙に謳われている
「ページをめくるのがわくわくする」という見出しは、なるほど納得いたしました。
小生は「コンキョレス」という言葉が特に印象的でした。
ただ、ほとんど疫学統計に関してシロウト同然の小生にとっては、
統計学のコンテンツについて解釈が不十分でした。(T_T)　　その穴埋めとして、
筆者が出版されている　「論文を正しく読み書くためのやさしい統計学」　
を拝読させていただこうと考えております。
基礎から学ぶ方にとって、本書は本当に「基礎」を理解できる内容であり、
オススメの作品です。

疫学をまなぶ人には、学問として疫学を修めようという専門家タイプと業務の助けとして疫学を知っておきたいという実務家タイプのふたつがある。この本は、専門家タイプにとっても内容で不足する面がほとんどなく、実務家タイプにとっても読みやすくできている。また、著者自身が「脚注から読む疫学」に変えようかと悩んだらしいほど脚注がおもしろい。わかりにくい概念の具体的な例示や読者に考えをうながす反例、疫学者としての著者のグチなど、脚注をひろい読みするだけでもためになる。
内容としては、コホート研究と症例対照研究と介入研究はどれが優位にあるというわけでもない、それぞれに使い道があるということを繰り返し述べており、コホート調査への盲目的な崇拝がおこなわれがちな現状を戒めてもいる。良心的な本とも言えるだろう。

　Evidence Based Medicineが主流になる今、疫学は医学者のみならず科学を学ぶ者にとって必須科目となりつつあります。かといって、膨大なデータを扱う疫学というのは一見難しそうで、とっつきにくい…。
　この本は学生を対象に書かれた本です。そのため、初めて疫学を学ぶ人でも抵抗なく読み進められるように出来ています。さらに初歩で終わることなく、ある程度必要とされるレベルまで到達できるので、初学の人にはおススメです。
　決して数字遊びにならず、生きた人間を対象とした学問であるからこそ、「基礎から学ぶ楽しい疫学」はすべての学生に読まれてほしい１冊です。

優れた良著です．
仕事で10冊程度疫学関係の本を読みましたが，本書は，方法論から適
用事例にかけて，体系的に，時には的確に各種方法の比較表でおさらい
しつつ整理されていてもっとも優れています．端的には，これ1冊で十
分です．
著者の略歴など書かれていないのですが，豊富なコメントからも，きわ
めて優れた分析力と客観的な判断をされる研究者の方であることがわかり
ます．それでいて，疫学上周知の因果関係が適切に政策に反映されていな
いことを批評したり，自身の自戒を述べるなど人間味のある仕上がりとな
っています．
この本は，統計についても初学を経ている理系の方にとくにおすすめ
ですが，経済学などをおさめている文系の方でもだいじょうぶだと思い
ます．むしろ，事例だけ並べて，まとまりのつかない同類の書物と比較
して，理論的な背景を体系的に順序だてて整理しているので，応用の効
く理解が深まります．
疫学にかかわる方は，間違いなく1冊手元に置いておくべき良著です．

EBM,疫学を正しく楽しく学びたい初心者向です　はじめから順に読んでいってもいいですし、読みたい章だけでもポイントがつかめます　興味があるけど知識に乏しい方におすすめです　注釈も人間味があって暇なときさっと読めます　英語や翻訳された教科書で勉強して疑問が残っ手いる方にもいいかも　偶然、医療統計の専門家(教授）イチ押しの教科書でした　ただし、すでに知識のある方、一通り疫学を学び、応用していきたい方には物足りないかもしれません　コンパクトで装丁も気に入っています