それぞれの絆
★★★★★
余計なことは何も云わないけれど、肝心なことだけはきちんと伝える。
そしてはっきりと態度にも表す。それが久遠という男。いい男の総元締めみたいな人です(笑
久遠に対する和孝の意地の張り方も好きです。
男である自分にしか出来ないやり方で久遠の傍に居ようとする姿勢が、
ただ守られていれば幸せという、BLにありがちなナヨナヨ系の男の子とは明らかに違うところが好きです。
高岡さんがその揺れ動く感情を描くのが巧い。
また谷崎と上総の絆の深さ、強さにも心底痺れます。
それぞれ違う道を往くことを選んだことを、谷崎が今後悔しているのだとしても、
それをひっくるめたすべてのことを友情と呼ぶのだろうと思います。
精神的な繋がりであるから半永久的なもので、それが友情としても、恋愛としても、
仕事のパートナーとしても、誰もが望む理想的なカタチなのだろうな、と思わせます。
この話は…とても良いvv
★★★★☆
では何が良いのかと言えば、
とにかく攻サマである久遠が大人で格好良いのである。
2冊目である今回も客の事情によるイザコザに巻き込まれる形で、
厄介者を背負い込んでしまった受サマ・和孝に対し、
釘を刺しつつも良い位置で精神的にも若い彼を見守っている。(勿論キレル時もある)
実は久遠さん、和孝が考える以上に彼の事を特別視しているのだが、
如何せんバックボーンが不透明なだけに和孝はそれを認められないし信じきれない。
そして、もがき苦しみながら久遠を思ってる。
今回は久遠の過去も出てきます。
ヤクザ物としてはヌルイと、そう思う人も居るでしょうが、
暴力や血や荒々しさよりも、
人と人としての感情の起伏や思いに視点を置いてある所が、
私的にはとても良い作品でした。
今後二人の仲が甘々となっていくのか、
組関係が絡んだ嵐中となっていくのかは作者のみ知る所ですが、
買い続けていけるシリーズだと思います。