話としては、中国大使館による謀略を巡ってすべてのウラ情報を握ろうとする公安警察の謎の組織「ZERO」に、公安部外事2課・峰岸が孤立無援の状態で立ち向かうという作品だが、とにかく登場人物が多く、話がいろいろな方向にむくため、ストーリーを追いかけるだけで精一杯。楽しむ余裕はなく、いい睡眠薬になった。何しろ、主要登場人物表だけで、上下二段で見開き2ページ、このほかに、ZEROの組織図、中国国務院の関係略図がそれぞれ見開き2ページである。最初はいちいち組織図をみながら読んでいたが・・・。
これだけの作品を描くのに、相当綿密な取材をされたであろう作者には敬意を表したいが、本の帯にある「エンターテイメント小説の最高峰!」は言い過ぎだと思う。少なくとも、万人向けの作品ではない。☆1つの読者と☆5つの読者に分かれると思う。
本作品は2002年版のこのミスで27位、2001文春ベスト10では選外だった。