リアリティ
★★★★★
もはや小説としての完成度を望む人には物足りない著者。
ノンフィクション好きの人が読むと楽しい、
バーチャルリアリティ小説。
普段の書籍から得た多大なる情報を基に
色々と推測しながら読んだら楽しい。
小説好きの人には向きません。
現下の明白な危機
★★★☆☆
トム・クランシー原作「Clear and present danger(今そこにある危機)」をプロットとして書かれた本だと思うのだが、芯となる人物がぶれていて物語として面白くない。日本がおかれた現状、武との関わりなど、テーマはふんだんに盛り込まれているけれど、劣化したドキュメンタリーを読まされているようで残念。ジャック・ライアンとは言わないまでも、登場人物に魅力を持たせられなければ、小説としては成り立たない。
しかし、軍事をわかりやすく解説できる能力や、現状に対する危機感を背景とした説得力は非常に鬼気迫るものがあり、日本における軍と政治の関わりを描ける唯一の書き手だと思うので、次回作に大きな期待をしたい。
竜頭蛇尾、といったら失礼でしょうか
★★★☆☆
前半の特殊作戦群や諜報活動に関する詳細・緻密な描写(リアルかどうかは一般人にはどうでもいいですが)にはとても引き込まれました。優れたポリティカル・サスペンスと期待させるに十分な前振りでしたが、実際に作戦行動の描写になったとたん、「卒業試験」で隊員見習い(?)が簡単に北朝鮮の謀略(この謀略自体陳腐では?)を解き明かす重要情報を得たり、先遣の偵察部隊がこれまた簡単に核兵器の隠し場所を確認してしまうのは安易過ぎるのでは?
実行部隊も派手にドンパチやるわりに、作戦自体が「これが目的?」と感じさせるような内容でした。この中途半端さに日本の政治状況に対する皮肉が込められているのだろうが、何もこの程度でチームが玉砕しなくても・・。COといいzeroといい、綿密な取材に基づくリアル(っぽい)な状況設定等好感をもてますが、肝心のストーリーがpoorな気がします。「宣戦布告」以上の作品を期待します。
任務のため命をかける男たち
★★★★☆
上巻が静とすれば下巻は動。
特殊部隊が北へ潜入するところから、物語はイッッキにスピ−ドアップ!
特殊部隊の描写がリアルかどうかは私には分かりませんが、家族や生活を省みず任務のため、すべてを捨てて取り組む、隊員たちの壮絶な戦いには感銘を受けた。
そこには、米、韓、日、露の思惑が交差し、裏切り、欺瞞に満ち、誰にも賞賛されることのない潜入作戦だけがある。
さらに、国内の文官の働きにも感銘を受けた。公僕の理想がここにあるのでは?
米国の一国主義的陰謀に先駆け、日本のみで問題解決をするところに、小説ながら胸のすく思いがした。
近年の冒険小説の最高傑作のひとつだと、個人的には思う
特殊部隊たらしめるものが希薄
★★☆☆☆
ある陸将に特殊作戦群の練度について尋ねたとき、「隊員たちはIQが高い。どういうことかといえば、ごく限られた物を与えられても、それを工夫、加工して、危機を乗り切るのに用いる能力をもっている」と語ったことがある。いささか古いが、TVドラマ「冒険野郎マクガイバー」やコミックの「パイナップルアーミー」の主人公を思い浮かべるといいだろう。残念ながら、本作では、そうした特殊部隊ならではの特性が描かれているとは言い難い。政治的な描写については、「宣戦布告」から一貫して著者は警察庁、公安調査庁出身の二人のS氏が示唆するままに書いているように思われる。当然、ディスインフォメーションが随所に仕掛けられている。これはこれで、情報操作の意図を見抜きながら読めば面白い。余談だが、ニンジャが現代でも存在するとシールズの元司令官に聞いて、愕然としたことがある。