迫力は凄まじい
★★★★★
名著たる原作をリアルな漫画で表現しています。迫力には
すさまじいものがあります。戦術・戦略もさることながら
刻々と変化する雪多い北方で如何に戦い如何に相手を欺くか。
考え続ける人間たちのドラマです。これほどおすすめできる
漫画もそうありません。
文化庁メディア芸術祭推奨作品として
★★★★★
確かに軍記物や、堅い言葉の羅列が苦手な人はちょっと読みづらいかも知れないです。
二巻。原作のストーリーもさることながら、伊東氏の漫画表現の巧みなこと巧みなこと。
戦闘シーンは、爽快で、それでいてその場の緊迫や危機が如実に読み手に伝達されて・・・。
戦争の無慈悲さや無条理さなんかもしっかり主張してくれる皇国の守護者、漫画版。
ガンダムの安彦氏も絶賛。私も絶賛。おススメ。
新城、戦いの申し子
★★★★★
増援を得て南下する<帝国>軍先鋒の規模は最低でも連隊規模と想定された。<皇国>北領南端の路南半島を横切る真室川を独立砲兵旅団が渡河するまでの2日間、伊藤少佐率いる第十一大隊8百名は彼らを食い止めなければならない。
伊藤少佐は帝国軍進路の見通しの利かない側道に待ち伏せての夜襲を計画。
正式に新城が隊長になった第二中隊は敵の真正面に配置される。新型の施条銃を手に攻撃を開始する第二中隊だが、空に放たれた燭燐弾に照らされた敵の数は予想を上回る二個旅団8千名であった。奇襲に浮き足立つ10倍の敵に剣虎兵たちは白兵戦をいどむ――。《剣虎兵》
大隊長となった新城に伝えられた新たな任務は、残る1万2千人の兵の撤退のために、帝国軍を10日間路南半島に足止めすることであった。
真室川を渡ってきた斥候を迎撃し、浮橋を構築する帝国軍工兵隊に平射砲の射程ぎりぎりの距離から砲撃を行い、架橋を妨害する。
ユーリアの舌を巻かせ、帝国軍の足を3日止めたが、正面から戦っても半日で全滅することに変わりはない。残る7日間を稼ぎ、大隊も撤退できる作戦を新城は提示する。
しかし、それは衆民出身者が大半を占める隊員たちには辛い決断を迫る作戦だった……。《光帯の下で》
本編で匂わされたとおり、新城の半生は祝福されたものではないだろう。育てられた駒城一族では厄介者扱いされ、愛する女性は他人の妻となることが決まっている。彼の生い立ちに比べれば命令される立場であり役職ゆえの制約がありながらも将校という立場は自分の意志で動ける唯一の場なのではないか。
新城の戦う理由に家族は存在しない。兵や猫たちを生かす事を最優先にする新城だが、彼の居場所は軍隊や戦場にしかないように思える。
いささか気が早くて恐縮だが、この物語のラストで新城が生き延びるとしたら、彼の居場所が軍隊や戦場でない事を願ってやまない。
遅滞防御
★★★★★
本土に撤収する友軍本隊を援護すべく遅滞防御に徹する部隊の物語。
最後尾の部隊(しんがり部隊)が相手の追撃を阻害することにより、本隊の脱出を成功させるのが作戦の眼目である。
ありていにいえば遅滞行動とはすなわち「時間稼ぎ」にほかならない。
加えてしんがり部隊のリスクは減るどころか、むしろ上がるともいえる。
リアリズムが徹頭徹尾支配する戦場における、究極の行為である自己犠牲に等しいといえるだろう。
目の前が真っ暗になりそうな状況ではあるが、主人公の新城直衛は常に目的を達成し、なおかつ自らも生き残る方法を模索する。
決して明るい人でもないし、そもそも明るい状況でもないわけだが、彼は逆境における楽天家なのだ。
平時の楽天家は必ずしも逆境のおいて楽天性を発揮できるとは限らない。
またその逆もしかりである。
人にはそれぞれ使いどころや、輝く状況があるのだなということを実感した。
2巻も良い
★★★★☆
原作が「改悪されているのではないか」という恐怖に震えながら買っ
た1巻が良いほうに裏切られて、続いて買った2巻。
相変わらず見事です。
確かに原作とは違ったところはあります。
が、しかし違和感がない!
もし原作で書かれていたならこの漫画のような描写になっていたので
はないか、というくらい違和感がないです。
原作のあるものを漫画版やドラマ版、アニメ版にすると、酷いのにな
ると、作品名と登場人物名、大まかな設定を原作から持ってきただけ
で中身はまったく別物、原作者を馬鹿にしているのではないかと思わ
れる作品が大手を振ってまかり通る中、この作品は原作に忠実でわか
りやすく、かつ違和感のない独自描写もある原作に対する愛が感じら
れる読んでいて気持ちよい(グロシーンのことは言ってません)作品
です。
3巻が実に楽しみです。