インターネットデパート - 取扱い商品数1000万点以上の通販サイト。送料無料商品も多数あります。

ミオよわたしのミオ (岩波少年文庫)

価格: ¥714
カテゴリ: 単行本
ブランド: 岩波書店
Amazon.co.jpで確認
あまりにも切なく、はかない。 ★★★★★
ながくつしたのピッピの作者の作品なので、明るい話を期待して読み、衝撃を受けた。
子供の時なら「養父母に虐待されて育ったボッセが実は「はるかな国」の王様の子、ミオで、すばらしい冒険をした。」
と読んでいたかも。(それでも本当に十分に引き込まれるおもしろさであるが)
しかし、ボッセのつらく悲しい心が、この美しく、恐ろしい夢の世界へ逃避したのだと、大人ならわかる。
王様はボッセの求める理想の親だから、ボッセに限りない愛を注ぐのである。
王様の存在により、ボッセがどれほど愛に飢えているかが逆説的に示されているのだ。
(リンドグレーンは子どもの権利や動物の権利の擁護者としても知られ、あらゆる虐待に反対の立場を表明していたそうである。)

この話の美しさというのは、きらきら光るダイアモンドのそれではない。
たとえば、ウスバカゲロウの羽とか、蛍の光とか、はかないからこそ、その美しさが胸に迫るといったたぐいの
せつない美しさなのである。
美しく、甘いだけのファンタジーなんかでは全くない。
もっともっと評価されてよい他に類を見ないおそるべき作品である。
本当に大人の方にこそおすすめ。

原著を読んだある方がリンドグレーンの文の美しさは例えようがないと語っていた。
スウェーデン語はわからないので残念だが、大塚さんの訳は十分に魅力を伝えているのではないだろうか。
「甘え」の肯定 ★★★★☆
筆者の空想力は素晴らしいです。
忘れられたお話をする井戸、姿を隠すマントそして
魔法の匙など女史の想像力は脱帽します。
しかし、ストーリーは社会に対する「甘え」を強く肯定していて、
個人的に好きになれませんでした。
子どもの成長のための舞台が大人によって用意されていて、
子どもは何の努力をせずにヒーローになれるような設定になっていると思いました。
ミオは騎士カトーという悪を倒しに危険を冒しに行きます。
確かに父・国王が運命論的に「とうとう行くのか」と心配をしてはいますが、
国王はミオの冒険を深刻に受け止めていないと私は思いました。
これは危険な旅にでるが、強く反対はしない、
なぜなら、無事戻ってくるから、という設定になっています。
「管理社会」で子どもが大人の教育プログラムに則って
大人の言うことをよく聞く子どもを育成しようという
邪な下心が見え見えでした。
子どもを冒険させるのであれば徹底的に危険な旅をさせるべきだと思います。
世界でいちばん好きな本 ★★★★★
 初めて読んだのは小学生のころ。今も手元にある箱入りのその本は、
何度も何度も読み返したせいで、ページも黄ばんで箱も角は擦り切れて
しまっています。
 銀ポプラ、白馬ミラミス、星空を見上げての草原での野宿、魔法で
鳥に変えられて湖の上を鳴きながら飛ぶ子どもたち、鉄の手と心臓を持つ
悪の騎士カトー・・・。

 詩的で優しく美しい中にもファンタジーに欠かせない要素がしっかりと
詰まり、胸躍らせる冒険物語に仕上げているリンドグレーンの筆の素晴ら
しさにはただただ感動するばかり。里親に冷たくされて育ったミオがやっと
出会えた本当の父親(「はるかな国」の王)を想いながら、戦いに立ち向か
う姿には胸を打たれます。

 少し前、同じ単行本スタイルで再販された時、新しいのを買い直そうと
手にとっては棚に戻すことを何度も繰り返しました。
 あまりに好きな本だから、私の手に二冊残るよりは、もう一人の子に
大事にされてもらいたいから・・・。

 これから何冊本を読もうと、永遠に「世界でいちばん好きな本」です。

これは大人の本でもあります。 ★★★★★
 子供が読めば、孤児のボッセは実は王子様でお父さんの王様に限り無く愛された、よかったね という話。それでも美しい描写に心を奪われるだろう。

 しかし、これはそう言う単純な話ではないのだ。なぜ王様は大好きなお友達のお父さんによく似ているけどもっときれいで、もっとやさしくボッセの願いを全て叶えてくれるのか。なぜ美しい白馬は大好きだったビール工場の老馬と同じ目つきをしているのか。なぜどの家もみなおとぎ話に出てくるような家なのか。なぜ悪夢に出てくるような迷路に何度も迷い込むのか。作者はこういう描写くり返す。児童文学だし、まさかと思いつつ読み続けると、最後のページでやはりすべてはボッセのゆめなのだと確信させられる。あまりにもせつない話なのである。
 また夢ちはどういうものなのか作者が研究していることが良く分かる。  
 ぜひ御一読を。

昔話のような懐かしさ ★★★★★
孤独な少年ミオが夢見たよりもなお美しい異世界の王子として迎えられます。しかしそこには残酷な騎士カトーの暴虐が待ち受けていました。

懐かしいおとぎ話のようなストーリーと、詩のような情景描写があいまって、心地よい読後感が得られます。ポプラの歌声、飢餓牢の闇の深さ、カトーの抱える苦しみなどの場面は忘れがたい印象を残します。

小学校上級生以上。中学生には物足りないかもしれません。