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ひとを愛することができない―マイナスのナルシスの告白 (角川文庫)

価格: ¥500
カテゴリ: 文庫
ブランド: 角川書店
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あるようで、あまり見つからないテーマ。 ★★★☆☆
「愛は素晴らしい」「愛こそすべて」「愛しなさい」…
愛について前向きに明るいテーマはたくさんありますが、
「愛することができない」というテーマは、避けられているのか、
見落とされがちなテーマなのではないかと思いました。
誰もが決して口にしない、このタイトルにまず惹かれました。
まさに「告白」ですね。


「愛」ってなんでしょう??
読み終わってからも、答えは出てません。
が、貴重な一冊だと思います。
しまっておくべき感情 ★★★★☆
全く駄目受け付けないという人と、奇異に感じつつもシンパシーを感じてしまう人に二分される奇書中の奇書。

ダメな人にとってははっきりいって嫌悪感しか残らない。しかし、もう一方の人にとっては自分の心理を突かれているようで、痛々しく感じつつも読み進めてしまう。

ごく普通の常識人が心の奥底に隠しもっている醜い(と世間ではみなされている)部分を筆者は目を覆いたくなるほどにされけ出す。それに対して、どこかすがすがしさを感じてしまう自分がいる。

だれが死んでも本当は悲しくない。ただし悲しんだふりはする。私は彼(彼女)を心から愛しているのではない。ただしまわりが愛せというから彼(彼女)を愛する。すべては単なる理性的な判断の結果である。

掘り出すべきでない感情もある。みんなそうやって生きている。
世代を超えた凄絶な「愛」との死闘 ★★★★☆
ここまで苛烈に心の襞を曝さずにおれなかったものは一体何だったのか。残酷なまでに愛する能力が絶望的に欠けていた父親と、その男から愛されることを貪婪に求め、しかし愛されない女のすさまじい執念を放ち続けた母親に対する復讐なのか。信頼関係すら崩れ去った妻子への嫌悪なのか。強烈な自己愛にがんじがらめになっていて、他人を自然に愛することのできない自分自身へ向けた徹底した憎悪なのか。自然主義文学の迫力を上回る激烈な告白。
ここまで愛を考察するとは ★★★★★
 過去、紀伊國屋書店から出版された物を文庫化したものです。(加筆されていますけど)人を愛することが出来ない。素朴な疑問から出発して、愛とは何かを考察します。愛とはフェリア、アガペー、エロスに分類され、そこから愛は進んで人格を相手に譲り渡すと言うところまで行きます。確かに人を愛するとその人しか目に入らなくなります。そこを鋭く分析する中島さんには敬服します。それに愛故に何でもしてしまう恐ろしさを孕んでいることを指摘しています。愛を美化することなく、これこそ愛という物を本当に考察した素晴らしい文庫だと思います。