素晴らしい名画に秘められたお話の数々
★★★★☆
NHKテレビの「迷宮美術館」で取り上げられた名画の誕生秘話を集めてムックにしたものです。美術愛好家だけでなく、これからいろいろなステキな美術に出会いたい、という人達にはとても有用な書籍でしょう。
解説も分かりやすく、切り口も斬新で、興味をひくものばかりですから、美術鑑賞という堅苦しいイメージとは無縁です。名画を描いた画家の人生を辿りながら、絵の背景を知っていくうちに、取り繕っていたように見える絵画が身近な存在に思えてきます。
寝ても覚めても光、光…「光」をつかんだ画家たち、傑作の陰に女あり?!「恋」はアートの生みの親、絵具をあやつる魔術師たち 「色」のマジックにご用心!、巨匠のスーパーテクニック!キャンバスは「技」の博覧会、事件は絵の中で起きていた!名画に隠された「ドラマ」、絵筆にこめられた愛の眼差し 描かれた「子ども」たち、貴女こそわが芸術、わが魂!美は「女性美」と見つけたり、想像力はアートのみなもと?!目には「見えない」ものを描く、という内容になっています。
絵画鑑賞において、画家の感性と鑑賞者の思いが融合したときに感動が生まれ、その絵画の特徴を先達から知ることによって、より深い鑑賞眼が養われます。画家の人生がいかに作品に影響を与えているのかは論じるまでもありませんが、生き様が作風に如実に表れているが故に、作品が愛されるのかもしれません。そのような背景を知ることが、鑑賞するにあたって大変参考になるのもよくあることです。
知られざるエピソードを交えて多くの美術館賞ができるわけですから、良い企画と編集がなされていると思いました