知っているようで知らない画家の生涯と名作の背景への理解を助ける著作
★★★★☆
NHKテレビで放送されている「迷宮美術館」で取り上げられたテーマを集めて1冊のムックにしたものです。
美術鑑賞というと堅苦しいイメージがありますが、描いた画家の人生を辿りながら書かれた絵の背景を知っていくうちに、取り繕っていたように見える絵画がとても身近な存在に見えてくることがあります。
本書もそんな効用をもたらすもので、放送局の狙いは見事に受け入れられたものと思われます。
第3集は、国内の美術館に所蔵されている絵画を取り上げて、1〜3頁の分量で作品を掲載しながら、分かりやすく解説されていますので、画家に対して知識がなくても読んでいる内に親しみを感じるような編集になっています。
本書で取り上げられた画家を列挙しますと、モネ、コロー、ルノワール、ミレー、ルソー、ミュシャ、ルオー、ゴッホ、ゴーギャン、モディリアーニ、マティス、ピカソ、シャガール、ダリ、雪舟、等伯、応挙、芦雪、円空、光琳、北斎、元信、永徳、芳崖、夢二、大観、広重、国芳、鉄斎、青木繁、佐伯祐三とキラ星のごとく多くの人に愛され続けている画家の名作が披露されています。
画家の人生がいかに作品に影響を与えているかは論じるまでもありませんが、生き様が作風に如実に表れている所がまた作品が愛される所以なのかもしれません。廉価でありながら、多くの美術館賞ができるわけですから、良心的な編集だと感じています。