ゆるい不思議なノンフィクション
★★★★☆
痩せていた時は美人だった妻は、いまや158センチ80キロの立派な肥満体型。
家の中では定位置にどっかり座って動かず、運動や、汗をかくのは大嫌い。
この妻が、ダイエットすると言い出したものの、なかなか始めない。
そこで夫である筆者がダイエットの道を探り始めた・・・。
主な内容は、様々な女性が実践しているダイエットを夫婦が聞きに行くというものです。
が、肝心の妻はどれにも難癖をつけ、一向に行動を起こさない。
のらりくらりとした展開に、途中までは、これは単なるページ稼ぎではないのか?と思いながら読んでいました。
でも、後半に入り、そもそもなぜダイエットをするのか、と言う究極の問いに話が及ぶにあたって、この著者の本領が発揮されます。
そして行動を起こさない妻の(あるいはやせなきゃと思いつつ努力が続かない多くの女性の)心理が解き明かされていきます。
本書に書かれているのは、究極のダイエット法でもなければ、巷にありがちな成功談でもない、ダイエットを巡る複雑な女心です。
最後にたどり着いた答えには、「そう!そう!」と思わずひざを打ってしまいました。
しかし、こんなに女性心理を分かってあげる夫がいたら、妻はやせないだろうな、と思いました。
ダイエットは何のため?
★★★★☆
「センチメンタル・ダイエット」を改題・文庫化した本。
作者の奥さんは158センチ80キロと太りすぎ。その3年間にわたる「ダイエットの日々」を描いている。ただし、奥さんは運動が苦手、体を動かしたりするのも嫌い、食べたいものは食べる、という主義なので、ダイエットの具体的体験記が書かれているわけではない。
著者は、奥さんに合ったダイエット法を求めて、ダイエットに関する本や、ダイエット経験のある女性を取材するのだが、これがけっこうダイエット文化論になっていて、「なるほどねえ」という感じがする。
また、くっきり・さっぱり・決然とした性格の奥さんと、飄々とした独特のテイストをもった著者のかけあいは、「ほのかなおかしみ」を感じさせる。
200ページにわたりダイエットのことばかり書いている本であり、後半は少したいくつな感じもあったが、なかなか興味深い、楽しめる本だと思います。
ダイエット道
★★★★☆
ダイエットの体験談ではなく、人は何故ダイエットするのであろうか、という部分が中心。いうなればダイエット社会学のフィールドワークのエッセンスを抽出した仕上がりになっている。小泉今日子似であった、作者の奥様、いまや158cm、80kgという素晴らしい体格の持ち主になっている。その奥様のダイエット道の考察が中心。また出てくるダイエッターたちの発言も興味深い。何故人はダイエットするのか。それは人それぞれの生きてきた道によって、理由が違うことがわかる。ダイエットは人が生きてきた道を表す「生き様」の様相を持つ。抱腹絶倒のおもしろさではないが、確かにおもしろい作品ではあります。