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イデーン-純粋現象学と現象学的哲学のための諸構想 (2-2)  第2巻 構成についての現象学的諸研究

価格: ¥6,300
カテゴリ: 単行本
ブランド: みすず書房
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現象学と心理学 ★★★★★
 現象学という方法について、見つめ直してみよう、そんな人にこの書物を薦めたい。
 この翻訳第2巻で、フッサールの観察と分析を辿る時、改めてしきりに思い浮かぶのは、心理学的方法と現象学はどこが違うのかということだ。「イデーン」第2巻は、学問論、諸学問を基礎づける学問論を目指すものであり、この第3篇では、精神科学が主題となり、精神という存在が探求されるが、そこで展開される分析は、まさに心理学のものだ。「世界」が構成される様を、論理的時間軸に沿って(つまり、リアルな時間軸に沿って、発達過程を追うのではなく)、心理学的に解明していく、そんな佇まいを見せる。これはそもそも哲学なのだろうか?このような分析を進めて行くのであれば、心理学の諸成果をエポケーするのではなく、それらを土台にして進めて行った方が、遥かに効率的に成果が得られるのではないか?等々の疑問が沸き起こる。
 それらの疑問の中に身を置きながら、フッサールが現象学を己の哲学の中核に据えた諸動機に改めて視線を向け、現象学が哲学的思考、根源からものごとを見つめようとする思考に対して、どのような意義を持つのか、そのようなことを考えてみることは、現象学の理解を深めてもくれるし、また、自分自身が、ものごとを根源まで突き詰めて考える時に、現象学を役立ててくれもするだろう。
 そして、この書物が、現象学の具体的実践であってみれば、現象学を身を持って体験することができ、それを通して、現象学を見つめ直すこともできるだろう。この書物には、極端に言えば、成果はない。フッサールは、精神という存在を「他者」を足掛りにして、「身体」という実在を常に視野に入れながら、探求するが、行きつ戻りつ、深い森の中にますます迷い込んで行く。しかし、それは逆に方法としての現象学を際立たせてもいる。この書物は、現象学について考えてみるのには、絶好なのだ。
 以上2点において、現象学という方法について、見つめ直してみようという人に、この書物を薦めたい。