独自のリーダーシップ論
★★★★☆
正直、昨年学生日本一になった早稲田大学ラグビー部、通称「豊田組」へのイメージが余りにも悪く、
結果が良ければそれを許してしまう監督として、正直読む前は中竹氏へのイメージは良くなかった。
ただ、清宮氏のような強烈なカリスマ性を持った指導者の後任として、色々と悩みながら独自のスタイル
を模索する姿は非常に好感が持てるし、「リーダーシップは強力なリーダーが抜けるとそこまでになって
しまうが、フォロワーシップは仮にリーダーが抜けても戦力が落ちることが無い」という氏のフォロワーシップ
論は、日本一オーラが無い監督と自称する氏ならではの着眼点であろう。
昨年度の豊田組に関して言えば、その前の世代(五郎丸を中心とした)から戦力ダウンし、苦しかったとは
思うが、結果を出してもあれではラガーマンとは言えないし、それを許した氏の指導者としての感性には正直
未だに疑問符が付く。本書は権丈・五郎丸の世代までしか書いていないのでそれを知ることは出来ないのが
とても残念。
ラグビーは組織について考えざるを得ないスポーツ
★★★★★
著者が最近出版した『フォロワーシップからリーダーシップへ』という本を読み、そこから遡って本書を読んだ。
私はラグビーというスポーツをした経験がないが、ラグビーは組織について考える(考えざるを得ない)スポーツなのだと感じた。
−−日本一オーラのない監督が目指すスタイルは、カリスマ性やトップダウンに頼らないリーダーシップである。
私がフォロワーシップと言う言葉に出会ったのは会社員になりたてのころである。
三菱総研時代に最も指導を受けた中伏達也主任研究員は言った。
たとえどんなリーダーが代わる代わるやってきても、フォロワーがしっかりしていれば絶対に会社はつぶれない。これをフォロワーシップという。−−
カリスマリーダーはどこにでもいるものではない。著者はカリスマ監督の後任として早稲田ラグビー部を率いて、それが凄いプレッシャーとなった。そんな著者とは全く環境が違う単なる中間管理職の私でも、プレッシャーはある。
しっかりとしたフォロワーがいれば、と願うのは、どの経営者もどの管理者も同じだろう。
本書はいわゆるラグビー本だが、組織とリーダーについて書いてある第2章は、あらゆるビジネスマンに読んでもらいたい。
ラグビーファン以外にもオススメ!
★★★★☆
ラグビーというスポーツが非常に戦略を必要とされる緻密なスポーツだからだろうか?
ラグビーの監督の組織論は非常に面白い。
そして、そのままスポーツ以外の活動にもあてはまるようなことが多いのも特徴のように
思われる。
本書でも組織論やコーチングが実践の中で描かれており、ラグビー好きでないビジネスマン
でも面白く読めるものであると思う。
人の動かし方、活かし方が、著者自身の失敗も含め様々に書かれているからだ。
組織改革を推進する人の必読書
★★★★★
非常に読みやすい。学術書のような文体ではないが、それがかえって分かりやすい。今、組織改革を試みている人、もしくはこれから取り掛かろうとしている人にとってのヒントがたくさんある。この本からすぐに答えを得ようとするのでなく、読者自身がまさに「考えなら」読むべき本。自分の身の回りの部下や上司、組織や環境などに置き換えながら、想像力豊かに読むことを想定しているのではないか。ラグビー愛好家でなくても、一度読んでみて損はない一冊。
新たなリーダー論として現場指揮官が書いた力作
★★★★☆
氏は自身のスタイルを「日本で一番オーラーがない監督」とな得ることから起こして新たな組織論として「フォローアーシップ」論を主張し、実際に早稲田ラグビー部で実践した方策、経験、失敗談等を赤裸々に述べている。実際に実行した直後の著作だけに著者の息遣いと周囲の環境とが眼に浮かぶ。他のレビュァーの方が指摘するように清宮氏との著作と対比しつつ、自己のモデルを確立することを模索している中間管理職の方々にとって読んで決して損はないはずである。強くお勧めする。