復習の起点に
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院試の勉強を始める際に、何かいい本はないかと本屋をぶらぶらしていたら見つけました。略歴を見ると僕より2〜3つ年上な方が著者(!)だったので、興味を惹かれて購入。帰って早速開いてみると、風に舞う木の葉のような展開(しかし全ては繋がっている)と、疑問の余地のない流麗な解説に舌を巻きました。これを学部生時代に書いたというのですから驚きです。
結局、その日の内に線形代数が終わりました。たった34ページの中に、工学部生が押さえておくべき内容が全て書かれています。全体を通して10日ほどで終わりましたが、「もっと先のページに進みたい。でも、休まないと集中力が続かない……」という状態を、受験生時代以来久しぶりに経験しました。そんな数学の本は初めてです。院試までの半年間、この本は常に傍らにありました。
初学者がこの本1冊で独習するのはちょっと難しいかもしれませんが、既習者が手っ取り早く復習するには最適です。この本に書いてあることがきちんと分かっていれば、あとは「どこで何を使うかという分析と判断力(=応用力)」だけで問題は解けます。そんなものは問題ごとに違い、いちいち本に書いてあるものではありませんので、本から学べるものは、この本に書いてあることで全てです。
院試前に短期間で復習しておきたい既習者の方は、この本を起点に選んで間違いありません。おかげで院試の数学は楽々でした。著者に感謝!
ものすごい密度です。
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本書の内容は,行列,ベクトル解析,常微分方程式,複素関数論,フーリエ解析,ラプラス変換という章立てになっており,普通ならば3〜5,6冊の本で勉強する内容を1冊で学習できます。付録の内容も非常に良いです。無駄な部分が一切無く,まさしく星5つに値します。
どの分野も,適切な解説で,画期的な解説も多々あります。学生が書いたというのが信じられませんが,学生だからこそ書けたのかも知れません。
本書では基礎数学〜偏微分・重積分程度の基礎知識は前提ですので,これらを先に習得してから読むべきです。密度が高い分,不必要な説明は省いていますので,基礎数学がままならない状態では読破は不可能でしょう。
高専の3〜4年,工学部の2〜3回生など,数学の工学分野での重要性を理解する時期にこの本を読むと,この本のすばらしさと,数学の真価が分かると思います。この時期の方々には是非お勧めしたい一冊です。
1冊買うならこれです
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私は高専から大学の理学部物理学科に編入したものですが,
はっきりいって数学は苦手でした.
しかし,この本の存在を知って購入して勉強していくうちに,
数学にも興味がもてるようになりました.
この本は非常によくまとまっていて,
勉強すればするほど,本の凄さが分かってきます.
これ一冊あれば,編入試験や院試まで,対策を立てることができる
と思います.
LaTeXで組版されているので,非常に美しく読みやすいです.
しかも「です・ます」体で書かれていて,著者の謙虚さが
あらわれていて,読む気にさせてくれます.
これだけの内容で,この値段は破格だと思います.
著者が学生という意味でも刺激を受けました.
是非学生で理系の方は,購入を検討してみてください.
買って損はありません.