典型的ウィーン風のスタイル
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最晩年の最後の協奏曲であるクラリネット協奏曲と青年期のファゴット協奏曲のカップリングです。天国的な美しさと諦観と寂寥感をまとったクラリネット協奏曲とはつらつとしたファゴット協奏曲の対比で丸ごと楽しめるCDだと思います。
ウラッハは若干、ソロ奏者としては華が足りないような気がしないでもないですが、うまいし地味が滋味につながるたおやかな演奏です。エールベルガーも派手さはありませんが、本当にうまいです。フルトヴェングラーらが指揮していたころの黄金期のウィーンフィルの木管の一翼を担う両者の音をソロで堪能できる幸せを感じます。ウィーン交響楽団もウィーン伝統の柔軟な演奏を展開しています。身をゆだねているとほっとする演奏です。
音質はモノラルですが、十分美しいです。若干、オーケストラの高音がシャリシャリしますが、聴いているうちに気にならなくなります。
名曲が、ウラッハの名演奏で蘇ります
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モーツァルトのクラリネット協奏曲とファゴット協奏曲のカップリングですが、それぞれ、ソロは、ウラッハ、エールベルガーという名手。そして、指揮はロジンスキー、オケはウィーン国立歌劇場管弦楽団の組合せです。
両曲とも、素晴らしい出来なのですが、やはり、世評、とりわけ名高いのは、ウラッハによるクラリネット協奏曲でしょうか。伸びやかで、牧歌的な、ウラッハのクラリネットの歌い回しが、モーツァルトの名曲を、一層、心地よいものにしてくれています。ロジンスキー指揮によるオケも、古き良きウィーンの香りがプンプンする演奏で、こちらも、ウラッハの演奏、および、楽曲を、引き立てています。
50年以上前の録音にしては、録音状態も良好で、さほど、気になりません。クラリネット協奏曲ファンであれば、是非。