ミステリー愛読者のための贈り物
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『このミステリーがすごい!』が刊行されて20年が経ちました。最初はミステリー好きを対象にしたマニアックな雑誌だと思っていましたが、いまや読書家に欠かせない年末の風物詩のような出版物となっています。それだけ多くの読者に影響を与え、またその人気が世評となって読書界を駆け巡るという凄い存在感を持つまでになっています。
『このミステリーがすごい!』20周年記念永久保存版と副題をつけ、過去20年のベスト・オブ・ベストを発表しています。その順位が妥当かどうかは別にして、確かにそれぞれ年代における代表作です。それぞれ過去に読了した感想も世評どおりの深みを感じました。その意味において、このランキングは過去20年のミステリー界の歩みの集大成のようなものでもありましょう。
日本、海外ともベスト20作品の簡単な解説がついています。ありがた迷惑の感もありますが、手引きとして利用する方もいるのでしょう。
歴代1位作家インタビューの企画では、船戸与一、大沢在昌、志水辰夫、高村薫、山口雅也、真保裕一、馳 星周、桐野夏生、天童荒太、泡坂妻夫、宮部みゆき、横山秀夫、歌野晶午、法月綸太郎、東野圭吾 平山夢明、佐々木譲という錚々たるメンバーが各2ページにわたって執筆時の思い出をコメントしています。知られざる作家の本音と素顔が見え隠れして興味深いものでした。
81ページのコラムには、「このミス」ベスト20に入った作品で直木賞を受賞したのが8作品ある、と紹介してあります。その昔、文学賞選考にあたってミステリーが識者や選者から一段低く見られていた時代を思い起こしますと隔世の感があり、ミステリー好きとしては感無量の面持ちです。
ミステリー好きには、たまらない。
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私は、このミスよりも、文春のベストテンを基本にミステリーを読んできた。
どうしても、このミスのほうが、ライトな感じがしていたからだ。
しかし、このムックを手にして、かなり印象が変わった。
稲見一良や、隆慶一郎がきちんと評価されているのがうれしい。
ベスト・オブ・ベストで興味深いのは、
各年の1位の本ばかりではないということである。
本には、読後鮮烈な印象を残すが、印象が鮮烈な分、永く記憶には残らない本と
読後ではそうでもないが、なぜか永く記憶に残る本がある。
このベスト・オブ・ベストでは、後者の本が多いように思う。
この一冊にミステリーの20年が凝縮されているといっても過言ではない本が、
650円とはうれしい価格設定である。
資料的価値大
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このミス20周年ということで20年間のベスト20作品から、再度人気投票を行う企画ものです。
単に今読んで面白そうな本を探すというブックガイド的な使い方でも十分楽しめると思います。
また、国内の歴代1位作家インタビューも1作家あたり見開き2ページと分量は少ないものの、作家の横顔を垣間見ることが出来てお得だと思います。
また、過去20年間のベスト20が掲載されていますの出、ミステリーに対する好みの変化を辿ることも出来てとても読み応えがあります。
ただ海外作品については、1ページに2年分をまとめて紹介して、簡単に済ませているので、翻訳作品にしか興味が無いという方は、実物を確認してから購入を決めたほうが良いと思います。
便利で楽しい一冊
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いまやミステリ−ファンのバイブルとなっているこのミスも20周年。
今までのベスト20と、20年間のベスト・オブ・ベストが掲載されている。
小説の題名を見ると、読んだ当時のことを思い出されて、ノスタルジ−に浸れる上、
読み逃していた、ランクイン作品も確認できて便利です。
各年度のベスト1作家のインタビュ−も掲載されていて楽しめる内容。
ミステリ−・ビギナ−もこの本で、名作をチェックしてください