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百句燦燦 現代俳諧頌 (講談社文芸文庫 つE 2)

価格: ¥1,365
カテゴリ: 文庫
ブランド: 講談社
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塚本ワールド全開の反リアリズム俳句アンソロジー ★★★★☆
塚本ワールド全開の反リアリズム俳句アンソロジーです。花鳥風月を写生する通常の俳句とは異質の俳句ばかりです。他のレビューでも言われていますが、入門書ではありません。

気に入ったのは次の句。


○生物系
目つむりてゐても吾を統ぶ五月の鷹 寺山修司
まぼろしのあをあをと鯊死にゆけり 秋元不死男
音楽漂ふ岸侵しゆく蛇の飢 赤尾兜子

○耶蘇教系
昼寝の後不可思議の刻神父を訪ふ 中村草田男
凍蝶のいまわのきわの大伽藍 榎本冬一郎

○不気味系
緑蔭に三人の老婆わらへりき 西東三鬼
赤き火事哄笑せしが今日黒し 西東三鬼
娼婦の日傘黒死病(ペスト)の町の千年後 馬場駿吉

○〈死〉系
転生を信ずるなれば鹿などよし 斎藤空華
いま俺を優しく殺す雪の樅 若山幸央
怒らぬから青野でしめる友の首 島津亮
死にたれば人来て大根煮きはじむ 下村槐太
囀や海の平らを死者歩く 三橋鷹女
鈍器としてキャンプの跡に石残る 加倉井秋を

○親子系
子を殴ちしながき一瞬天の蝉 秋元不死男
ひばり野に父なる額うちわられ 佐藤鬼房
父を嗅ぐ書斎に犀を幻想し 寺山修司
鶏頭に風吹く母のみそかごと 星野石雀

○男色系
雄蕊相逢ふいましスパルタのばら 加藤郁乎
男老いて男を愛す葛の花 永田耕衣

○季節系
例ふれば恥の赤色雛の段 八木三日女
袈裟がけに雪の刀痕葉月富士 富安風生
パンツ脱ぐ遠き少年泳ぐのか 山口誓子
髪刈つて晩夏さとき身黄昏へ 藤田湘子
秋風や模様のちがふ皿二つ 原石鼎

○性愛系
夜の洋傘女入れたる行方かな 伊丹三樹彦

○難解系
君はきのふ中原中也梢さみし 金子明彦
百日紅釈迦の阿難のわれ彳(た)つも  下村槐太
月下の宿帳 先客の名は リラダン伯爵 高柳重信
前衛的俳句です。 ★★☆☆☆
私はもともと短歌をやっていて、
俳句をはじめるにあたって、
入門書が欲しいと思い本書を購入しました。
内容は百人の俳句に塚本がコメントを付けるのですが、
選ばれている句は季語もなく、5・7・5の定型にもなっていない前衛的なものばかりです。
それに付いている塚本の評も旧仮名遣いで読みにくく、難解な内容です。
初心者には読むのは難しく、私は途中で読むのをやめてしまいました。
俳句に造詣が深い人向きの本です。

少し引用しますと、

父酔ひて葬儀の花と共に倒る(島津亮)
貞操や柱にかくれかがやけり(神生彩史)
父を嗅ぐ書斎に犀を幻想し(寺山修司)
水涸れて肋も若き夜の仁王(大峯あきら)
音楽漂う岸浸しゆく蛇の飢え(赤尾兜太)

という感じです。

追記・その後金子兜太の『俳句の作り方が面白いほどわかる本』を読みましたが、
こちらは初心者の私にはぴったりの本でした。