客観的な福沢像に迫る好著。
★★★☆☆
「馬鹿に宗教、丁度よき取り合わせ」発言他、娘の婿は武士がよいと人の上に人をつくった発言をものしている知られざる福沢諭吉像に迫る好著。福沢さんは一万円札の肖像画になってすでに久しいが福沢諭吉と聞いて一般国民はせいぜい『学問のすすめ』中の一文、天は人の上に人をつくらず・・を口ずさみ「福沢さんは万民平等を謳ったエライ人なのだな」と思う程度の認識なのだが、実はそれさえも間違っていることが本書を読むとよくわかる。
実は同著の冒頭文は「・・と云えり」と伝聞調で終わっており続く「されども・・」から始まる文章では学問の有る無しが人の上下を作り上げるのだ、との内容になっていてつまりは冒頭のall men are created equal (天は人の上にの元ネタの米国独立宣言)は福沢氏の真意ではないことがわかるのだが一般国民は知る由もない。本書のような客観的な福沢評(経歴は左系よりですが・・)は何故かあまり公にはならずその意味でもこの種の意見に触れるのは大変貴重な機会と言えるだろう。