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日常言語に潜む音法則の世界 (開拓社言語・文化選書)

価格: ¥1,890
カテゴリ: 単行本
ブランド: 開拓社
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日常の現象から最新の音韻理論へ ★★★★★
ことばの「音」に関して、日本語や英語などの身近な現象を例に取り、それらを体系的に説明するための学問的な議論の場に、読者を連れて行ってくれる本。

身の回りに溢れている言語の「音」に目を向けると、様々な現象があることに気がつく。例えば、方言にみられる濁音化、外来語に見られる音の規則(e.g.サイン/ vs シャイン、フイルム vs フィルム)、連濁現象(e.g. 大(おお)+カマ=大ガマ)、「じ」と「ぢ」の違い、など様々な音に関する興味深い事例がある。これらの現象は、日本語(または方言)の母語話者である人にとっては「当たり前」のことではあるが、その裏には実に面白い規則があることを本書は気付かせてくれる。

このような現象を体系的に見てみると、われわれの話す言語音の裏には壮大な規則(文法)があるように感じられる。これを明らかにしようとするのが音韻論であり、本書はその入り口として最適の入門書である。


語り口調で書かれているため、非常に読みやすいが、内容は高度な話も含まれており、かなり読み応えがある。また、音韻論を「関係論」としてとらえる考え方は新鮮な切り口である。構成は以下の通り。

1.関係論としての音韻論
2.音素と規則の関わりあい
3.規則と規則の関わりあい
4.規則と制約の関わりあい
5.制約と制約の関わりあい


特に注目したいのは、4章の後半にある、なぜ「規則」が「制約」になり、最適性理論が必要になったかという議論である。規則の余剰性、制約の重複、規則の矛盾などの視点から鮮やかにまとめられているが、このあたりを理解すれば音韻論のcutting edgeを垣間見ることができるだろう。同著者によるアクセントとリズム (英語学モノグラフシリーズ)も合わせて読めばさらに理解が深まるだろう。