この頃のエッセイが一番、僕にはおもしろい
★★★★★
村上龍の「すべての男は消耗品である」シリーズは全部読んでいるが、この頃のエッセイが一番おもしろいし、刺激的だと思う。最近は経済や外交の話が増えて、堅くなった印象があるが、このvol.1は、男、野性的って感じで、僕は好きである。本一冊に渡って、女(特に美人で若い)のことを褒めているが、その通りなのでしょうがない。
「オレ」の美学
★★★★★
性的にたんぱくな草食系男子なる者たちがもてはやされたり、ユニセックスな服装
および心性をたずさえた若い男たちが街をかっ歩する昨今の日本。彼ら新世代が
女たちに歩み寄り、同化しようとしているのに対し、作家村上龍は徹底的に自分
を彼女たちから異化する。彼にとって、「女」とはまったきの他者に他ならない。そ
して他者とは、ずばり美女という欲望の対象でなくてはならないのだ。美しくなけ
れば意味が無い、そう村上は言い切ってみせる。そんな美しい娘たちに、革命も
戦争の希望も失った男たちは、スポイルされる運命にあるのだ。
本書の主張ははたして、もともとは「ザ・ベストmagazine」という、下々の男たち
に未だ夢と希望を与え続けるアダルト雑誌が媒体だったからという理由による
のだろうか?そうではないだろう。「オレ」は出版媒体によって主義信条をころころ
変えるような男ではない。では、零落した保守反動最後のあがきだろうか?
そうでもないだろう。時代の保守が攻勢だろうと落ち目だろうと、孤高にも自分の
マッチョイズムを貫く、それが<村上龍>ではなかったか。
この本が、女の数だけ反発を招くのは目に見えているし、そんなことは村上だって
百も承知だろう。そんな彼に解説で噛みつく山田詠美の「遠吠え」は虚空を寂しく
こだまするだけだ。
本書は非道徳的である。だが小説家が時代の道徳と寄り添ってどうするというの
だ。おそらく時代は出版当時以上に、非道徳なるものの隠れる隙間を失いつつあ
る。モラルをはみ出る者は、弁明の余地無く袋だたきに遭う(これが本当のモラル
ハザードでは!?)、それが時代だ。
そんな世の中をざっと眺めた後、彼なら吐息まじりにこうぼやいているのだろう、
「やれやれ」と。
あ、そりゃ春樹の方か。
「オレ」の美学
★★★★★
性的にたんぱくな草食系男子なる者たちがもてはやされたり、ユニセックスな服装
および心性をたずさえた若い男たちが街をかっ歩する昨今の日本。彼ら新世代が
女たちに歩み寄り、同化しようとしているのに対し、作家村上龍は徹底的に自分
を彼女たちから異化する。彼にとって、「女」とはまったきの他者に他ならない。そ
して他者とは、ずばり美女という欲望の対象でなくてはならないのだ。美しくなけ
れば意味が無い、そう村上は言い切ってみせる。そんな美しい娘たちに、革命も
戦争の希望も失った男たちは、スポイルされる運命にあるのだ。
本書の主張ははたして、もともとは「ザ・ベストmagazine」という、下々の男たち
に未だ夢と希望を与え続けるアダルト雑誌が媒体だったからという理由による
のだろうか?そうではないだろう。「オレ」は出版媒体によって主義信条をころころ
変えるような男ではない。では、零落した保守反動最後のあがきだろうか?
そうでもないだろう。時代の保守が攻勢だろうと落ち目だろうと、孤高にも自分の
マッチョイズムを貫く、それが<村上龍>ではなかったか。
この本が、女の数だけ反発を招くのは目に見えているし、そんなことは村上だって
百も承知だろう。そんな彼に解説で噛みつく山田詠美の「遠吠え」は虚空を寂しく
こだまするだけだ。
本書は非道徳的である。だが小説家が時代の道徳と寄り添ってどうするというの
だ。おそらく時代は出版当時以上に、非道徳なるものの隠れる隙間を失いつつあ
る。モラルをはみ出る者は、弁明の余地無く袋だたきに遭う(これが本当のモラル
ハザードでは!?)、それが時代だ。
そんな世の中をざっと眺めた後、彼なら吐息まじりにこうぼやいているのだろう、
「やれやれ」と。
あ、そりゃ春樹の方か。
エンターテイメントとして
★★★☆☆
おっさんが、『女はこうあってほしい』とか『男はこうあるべきだ』とかをつらつらと気分のまま書き連ねたようなエッセイです。
タイトルから社会問題に対する問題提起や主張が盛り込まれていると思って読むと、おそらく多くの人は腹を立てるだけだと思います。
気分のまま書き連ねてある(ように装っている?)ので、本音のような刺激的な発言がいっぱい出てきます。
『あたりまえの話だが、いろんな女がいる。ブスは論外だ。
(略)
ブスの中にも社会的に素晴らしい女はいる。"有用な"女だ。
(略)
それで、ブスを除外して女というものを考えると、二種類に分かれる(ブスの恋人を持っている男は、この先は読む必要がない)。』
面白いでしょう。これを見て不快感を催す人は子どもです。
エッセイなんて楽しむ以外の用途に使えません。
ただやっぱり、合わない人は合わないと思うので星は三つ。
上の引用部を見てクスリとでも笑えた人は読むと面白いと思います。
ちなみにこれはシリーズ化されていて続巻もあるのですが、これは思いつき度とぼやき度がさらに加速して話題がバラバラすぎて、はっきり言って面白くありません。
最初のこの巻は、まだ読者を楽しませようという気が感じられます。後の巻はあまりお勧めしません。
龍
★★★☆☆
賛否両論かもしれませんが、これは村上龍さんらしいエッセイです。恋愛ベタな人が何となく参考にするといい感じかもしれません。考え方はいろいろですが、キツイ一言や勇気をあたえてくれる一言もあって好きですね。強く生きる何かの参考になるかもしれません。