当時の東アジアに何が起こったか
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「壬辰倭乱」(韓国)、「豊臣秀吉の朝鮮侵略」(日本)、「抗倭援朝」(中国)とそもそも、別の名前で呼ばれる16世紀末の戦争について国家の枠組をこえて論じた野心的な論集。伝統的な東アジア的秩序が西洋や日本の衝撃によって揺らいだ大戦争の意義を問い直している。
論介(日本の武将を道連れにしたとされる女性)、秀吉、ヌルハチ、李舜臣、当時のナショナリズムといったテーマが表象文化論、ジェンダー論といった現代的な問題意識や観点から論じられ、この大戦争の全貌が浮かび上がる。
その戦後処理から清や江戸幕府が成立していくのだから、その影響は大きかった。近年の「韓流」ドラマなどでこの戦争の韓国側の描かれ方に驚く向きもあったろあう。また、伝統的な軍記物からはわからない、新鮮な驚きに満ちた一冊である。