副市長権限によりシティーマネージャー制を試みるという趣旨か
★★★★☆
本書は、日本の市町村自治制度にシティーマネージャー制度を導入できないかという趣旨の本と読みました。
前半では、アメリカやイギリスのシティーマネージャー制度を紹介して、はっきり言ってまだまだ、日本には、なじみの薄いシティーマネージャー制度について基本的なところから説明を行っている。
地方自治制度の改革的立場として知られる中邨章、佐々木信夫、牛山久仁彦など各氏が寄稿・共著としているが、どうやら、この本は、実のところ、穂坂邦夫(元志木市長)氏と金井利之氏が持論を展開するために刊行したのではないかと思われるほど、両氏の個人的考えが強く出ている。
平成19年に改正された地方自治法で副市(町)長制度が導入されたが、この制度を使ってシティーマネージャー制度に似た制度が構築できないかという趣旨である。
現在の地方制度は「分権」とはいうものの、地方自治法の小手先改正に終始し、所詮、旧自治官僚の掌中で遊ばれているということを実感できる良書である。
因みに、アメリカの地方自治制度をニュートラルな立場で学習したいのなら、小滝敏之氏の「アメリカの地方自治」をお勧めします。