学部生から現場の研究者まで,広く活用できるテキスト
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振動工学の基礎である一自由度系の振動にはじまり,マルチボディーダイナミクス,有限要素法まで触れられており,学部2年生から大学院生,現場の研究者まで,広く活用できるテキストだと思います.
使い慣れたテキストを一冊持つと,いざ現場で問題に直面した時に,どの章のどの頁を見ればいいか,一瞬でわかります.本書はそのようなテキストになり得る良書だと思います.
内容を広範囲にしようとすると,ともすれば難解な教科書になりがちですが,本書は写真や絵を多用することで理解しやすくなっています.特に,いきなり物理モデルで説明するのではなく,自動車や飛行機などの実構造物を例に出すことで,理解を助けている点が評価できます.
MATLABプログラムは,早速出版元(東京電機大学出版局)のHPからダウンロードしてみました.例題に合わせてプログラムが用意されていますので,学部生レベルでは,パラメータの変化が振動系の応答がどのように寄与するのか等の理解に役立つと思います.大学院生以上では,本書の固有値や数値積分の解法・コマンドを参考にすることで,プログラミングに費やす時間を節約できると思います.