黒人大統領誕生
★★★★☆
アメリカ初の黒人大統領誕生の背景を人種、地域、宗教、世代など、さまざまな背景から分析した力作。
ケニアをルーツとするオバマがいかに黒人としてのしがらみから逃れて白人と黒人の橋渡しを果たすことができたか。なぜ新世代「ミレニアルズ」や「高給取りの白人男性」たちがオバマ支持の中核となったかを解説。
さらに、アメリカを四つの地域文化圏という視点で分析。WASPの文化遺産であるアメリカ民主主義の継承者としてのオバマと、負のWASP文化遺産を有し、民主主義の浄化を拒み続ける「高地南部文化圏」の人々との対立を図式的に際立たせる。
人種のモザイクと言われるアメリカ社会を構成する複雑な構成要素を学ばせてくれ、政治はもとより歴史や文化まで、アメリカ理解には欠かせない一冊だろう。