視知覚認知問題について詳しく述べている
★★★★☆
内容は表題の如く、発達障害のある子供たちの視知覚認知を扱っている。
近年、注目の集まる分野であるが、日本ではまだまだ専門家も少なく、参考になるような実践もわずかである。
本書は視知覚分野の先進国である米国で刊行された書の翻訳である。
訳書にはついて回る問題であるが、やはり翻訳調でわかりにくい部分がある。
それでもこの分野の書は少ないので貴重である。
特に視機能と視覚認知の違いをはっきりわかりやすく述べている点が参考になる。近視や遠視のような視機能だけでなく、認知の問題によってものが見えにくい、理解しにくい子供たちがいると言うことが詳しく書かれている。視覚認知について詳細に述べているのは勿論だが、視機能についても丁寧に説明しているため、どの問題が視機能に由来し、どの問題が視覚認知によるものかわかりやすくなっている。
各種機関や専門家についての記述は米国のものなので直接には役に立たないが、米国ではこのような支援が受けられるという参考になはなるだろう。
スキルを高めるための活動や教具については日本でも十分に活用できるものである。
さほど分量の多くない書ではあるが、内容は十分に参考になる。
早く日本でも米国のように視知覚認知問題への支援が広まるように期待したい。