マリア・カラスのおいしいところを1枚に収めてしまおうという、もしかしたら無理なことをやっているCD。一部フェイド・アウトされている部分があり、そのことに文句をつける人もいるらしいが、やはり1枚で大体のところが分かるというのはうれしい。「オペラには興味がないけど、カラスだけはいいね」という人がいる。おそらく何かの機会にこのCDを耳にして同様のことを思う門外漢がたくさんいることだろう。音質もいいし、選曲もビゼーやプッチーニの超有名曲が中心なので、だれにでも安心して勧められる入門盤だ。50頁を超えるブックレットが付いているのもセールス・ポイント。評論家のエッセイがいくつか、年譜、収録曲の紹介と歌詞対訳 、さらに豊富な写真が掲載されている。(松本泰樹)
不世出の「20世紀最高のソプラノ」
★★★★★
このアルバムは、マリア・カラスの全盛期とも言える1950年代後半の歌唱を中心に有名なアリアを20曲収録しています。名曲アリア集という色彩も帯びているのでしょうか。
50年以上前の録音もありますから、モノラル録音のものが多いわけですが、その歌の本質は全く変わりませんし、リスナーにはマリア・カラスの偉大さがはっきりと伝わってきます。EMIのデジタル・リマスター・システムによって高音質で繊細な録音が再現され、より良い音で聴けることによってその歌声も現在に蘇りました。
マリア・カラスの表現力はやはり格別です。若い頃のリリコ・スピントから年代を経るにつれ、ドラマティコの声質に変化し、その得意とする役どころも少しずつ変化していきました。
ソプラノよりも少し重い声質で、メゾのような響きを持っていますが、全盛期の高音の伸びは、紛れもない不世出のソプラノだったのがよくわかるCDでした。
ラストのプッチーニ作曲の歌劇「トスカ」の有名な「歌に生き,恋に生き」は、気心のしれているプレートル指揮によるもので、1964年の演奏ですので、本来なら声の調子が衰えていった頃なのですが、その気迫と歌心は全盛期と変わらない素晴らしいものでした。
ドニゼッティ作曲の歌劇「ランメルモールのルチア」の「苦い涙をそそいで(狂乱の場)」のようなコロラトューラ・ソプラノとしての力が試されるアリアも平然としてこなすあたりからも、今更ながら幅広い表現力を備えたソプラノであったのは間違いありません。細かいパッセージを正確な音程で歌い上げ、役柄の内面に潜む感情の機微を技術に裏打ちされた声で伝える表現力があり、今聴いても色あせることはない名演奏です。
歌劇「蝶々夫人」の「ある晴れた日に」のアリアがフェイド・アウトされていますが、出来ればもう少し伸ばして収録して欲しかったですね。
美しいマリア・カラスの様々なステージでの姿や、その生涯、詳しい曲目解説・対訳が収めてある50数頁のブックレットと別だての演奏データがついていますので、マリア・カラスの足跡を辿るにはとてもありがたい編集となっています。
オペラの真髄を表した入門作品
★★★★★
オペラは詳しくは知らないのですが、母親の影響でオペラを
知りたくなって購入した、一枚。名作が網羅されていてオペラの
全盛期、マリア・カラスの全盛期を録音した名盤。これ一枚で名作
を天才のメロディを天才の歌声を堪能できる最高作。
ドラマチックで情熱的な天才の声、子々孫々にで受け継がれるであろ
う歌声。これはオペラの美しさを知りたい方に。ただ、録音が古いので
音はノイズがはいり綺麗ではないのが、残念。
ever!
★★★★☆
20世紀最高のソプラノであるマリア・カラスのベスト盤。オペラの有名どころ、聴き所を集めているので、皆さんも書かれているように入門編としても良いと思いますし、セットになっているブックレット(オマケ?)が欲しくて買った私ですので(笑)カラスの写真が多く見られるので、そこがいいと思います。曲が一部省略されているのは・・・残念ですが、これだけの曲を集めていれば仕方がないのかなぁ?と・・・。とにかくCDと本でこの価格はいいですね。カラスのことを何も知らなくても本を見て、曲を聴いてオペラの勉強ができる入門のベスト盤!
良かったです。
★★★★☆
初めてマリア・カラスの録音を買ったのがこちらです。知っている曲や、初めて聞いた曲など、短縮されているところがあるみたいですが力強い深い歌声で問題なく楽しめました。入門にはいいんじゃないかなと思います。
盛りだくさんなアルバムだが
★★☆☆☆
ミレニアムを記念してというアルバムで、マリアカラス入門者向けに企画されている。
カラスの多くがそうであるように50年代の録音でモノラルだがEMIのデジタル技術は楽しめる音質を再現しており内容も人気曲ばかり20曲も入っている。
この日本盤、残念なのは詰め込むためか有名なラ・ボエームの「私の名はミミ」など曲の終りの重要な独白部分がカットされていることだ。エンディングが無いに等しい。
これを聞いた人がオペラの舞台を見て曲の途中で拍手をされてはかなわない。大切な部分を捨てる神経は理解できない。
担当者の問題か、ファンを馬鹿にしているとしか思えない。
解説のブックレット付きだが、曲ごとのオーケストラ名や指揮者、録音日時などのデータも記載がない。