志、中身ともに好感が持てますが…
★★★☆☆
職場の同僚とともに、中学生の進路指導の資料を探していて
他の何冊かとともに手に取りました。
そのため、私はこの本を、同時に買った他の本と読み比べる形となりました。
私はその時、この本を読んだあとで、装丁もコンセプトもよく似た
『自分の仕事をつくる』という本を読んだのですが、
私が子どもたちに資料として提供するなら
残念ながらこの本ではなく、もう一冊の方にします。
本書が決して悪いというわけではありません。
むしろ、多くの人のアンケートとその分析を行った労力、
そして質問に答えたそれぞれの人々の真摯な意見は賞賛に値すると思います。
だとしてもやっぱり先に挙げた『自分の仕事をつくる』が
「トップアスリートの日常から導き出された、他にも応用可能なトレーニングメソッド」
のようなイメージなのに対して
こちらは「一般の愛好者たちによる、熱き思いの寄せ集め」という印象がぬぐえません…
資料に何を求めるかにもよりますが、
私だったら、子どもたちには
「みんな夢と現実うまくすり合わせて人生を紡いでいるんだよ」ではなく
「誰だって、もののとらえ方を磨いてそれを形にすべく行動すれば一流になれるんだ」
ということを伝えたいですし、
それをよりうまく伝え、より元気になれる資料の方を選びたいです。
一見似ている2つの本ですが、そこから受ける印象には大きな隔たりを感じます。
もちろん著者の意図したところは違うとは思いますし、
単なる読者としては、この本も十分に楽しむことはできましたが
限られた予算の中にあって、それでも教室の棚にならぶ本とはいえない…と思いました。
いつまでも夢追い人。
★★★☆☆
ヒトは何のために働くのか。
この本の著者は3つ挙げています。
楽しむため
幸せ(生き甲斐)を感じるため
成長するため
そして、これって、
人生に置き換えるコトができるんじゃないかと
語っています。
この本はね、
就職を前にした大学生の迷いに応えるべく、
33人の職人の声を集めたもの。
実際は1005人にアンケートを取ったそうです。
それで見えてきたこと。
夢って社会に出れば
自ずから見えてくるというものではなくて、
夢を探し出そうとしているか、
その意識の違いで
目が輝き、笑顔が輝き、
人生が輝くかが決まるのだと。
著者は、夢を見つけるきっかけになれば
という思いを込めてこの本を出版したんですね。
登場するのは、
保育士から公務員、投資会社の社員、栄養士、
パイロット、主婦etc...
面白いところで、
花火職人に学食のおばちゃん、
ウォーキング講師にホスト。
前半には彼らの職業に対する思い、
後半では夢を見つけたきっかけが紹介されています。
園児の将来の夢のイラストもあったりね。
いろんな人がいてね、
夢を見つけるきっかけも
日常の些細なコトだったりするんだ。
夢って気づいてないだけで
さるきちの周りにもいっぱい転がってるんだなあ。
夢を意識することで日本を元気にしたい
夢に挑戦することで日本をもっとおもしろくしたい
そんな著者の思いが伝わってくる一冊です。
仕事は夢を実現する手段なんだね、と思い出させてくれる良書
★★★★★
何かの映画でこんなセリフがあった。「不思議ね。子供の頃は夢を追えって言われるのに、大人になると夢ばかり追うなって言われる」このセリフを聞いた時、妙に納得してしまった。
私も含め、普段仕事をしながら、夢を真剣に考える機会はそう多くない。仕事は日常、夢は非日常、という人が多いのではないか。
本書は33人の働く人が、自身の夢を綴った本だ。顔ぶれは幅広い。花火職人、営業マン、保育士、ホスト、投資会社などなど。それぞれの仕事内容も夢も、形はさまざま。ただ共通しているのは、仕事を通じて夢を実現しよう、実現できる、というポジティブさだ。
いたずらに夢を追うのではなく、仕事という日常にしっかり地に足をつけて、前向きに進んでいる。スーパーマンではない、いい意味で普通の人々が、仕事を通じて社会とつながり、そこに幸せを見出している。だから、「何をきれい事を言ってるんだ」とか「あんたとは違う」とか、そういう反感は覚えない。心地よい。
うん、仕事って、そもそもそういうものだよね、と久々に思い出した。良書だと思います。