どんどん面白くなります!
★★★★★
1巻より2巻の方が面白いです!本は読んでも読まれてはならないのですが、2巻ともなるともう登場人物に大分感情移入してくるし、ようし私も紅花会のメンバーだ!総舵主、手前に何なりとご下命を!!と胸中で叫ぶくらい、物語に入りこんでしまいます(笑)。
2巻では、秘密の皇帝・乾隆が前面に出てきて、物語の核心に迫っていきます。主人公らの出生や、恋愛などもうまく物語に絡み、展開を盛り上げます。一つの謎や問題が解決すると、また新たな因縁や秘密が現れて来て、読者を飽きさせることなく物語に食いついていかせる作者の技量には唸らされます。1巻で張られた伏線も生きてきて、「成る程、うまい!」と手を打ちたくなります。
物語は、予想通りに運ぶこともあれば、全く予期しなかった方向に局面が動くこともあり、正道と奇道の絶妙のコンビネーションに翻弄されます。いい意味で期待が裏切られる時が何とも楽しいです。
勿論、相変わらず大迫力の火花散る格闘シーンは健在。よくこれだけ見せ場を考え付くなあと感嘆しきりです。
個人的には、総舵主が乾隆を前にして、一歩も引かずに、民を無下にする政治を批判する場面が今巻中では最も痛快でした。流石、現実世界でも権力に媚びず、迫害を恐れずに、言いたいことを直言してきた香港が誇るペンの闘士・金庸氏の息子たちです。
中国には、孔子、屈原や白居易、司馬遷、魯迅を始めとして、天の下に民衆と真実に奉仕する、気骨の政治家・文学者の歴史があります。大きな視野に立って、民のため己の命を軽んじる反骨・高潔の士が少ない国・日本に生まれた者としては、尊敬と憧憬の念を禁じえません。高校生の時に漢文で屈原の「離騒」を読んだ時の感動も、今もって鮮やかです。
ますます物語が加速・拡大する予感の第三巻が楽しみ!