深く「酔える」
★★★★★
1992年ライヴ録音。
ゆったりとしたテンポで、飲み込まれる様な大きな力で迫って来る。
また、歌唱と楽器の両方が、大きな抑揚を伴っていて、緊迫感も強く、ロマティックなバッハでもある。
その抑揚は、抑制の強い知的なもので、聴く毎に新たな発見がある。
何より「酔える」演奏であり、演奏に深く引きずり込まれる。
演奏自体は素晴らしいのだが、録音にライヴ的な特徴がある。
指揮者の後方、数十メートルくらい離れた場所、つまりホールのS席中央後方の、最高の席で聴いている印象。
本録音は、音が少し遠い印象は拭えないが、それにも増して、演奏自体が非常に自然だ。
キリエの冒頭で早くも圧倒され、グローリアの最終部分には深く感動し、されに、終曲の盛り上がりは感涙ものだ。
この演奏は、一度手にすると、絶対に手放せない。
私の愛蔵盤の最上位に位置する。
ロ短調の最高峰
★★★★★
数あるロ短調ミサの録音の中でも「最も」素晴らしいものとして推薦できる名演。
ゆったりめのテンポ設定だが、けっしてしつこいことなく曲の持つ神聖性を際立たせる。特にKyrieの深淵さとGloriaのGratias Agimus tibiの崇高さは特筆すべきものがあり、至上の幸福を聞き手にもたらしてくれることだろう。
合唱を担当するバイエルン放送合唱団の演奏も素晴らしい。ジュリーニのスケールが大きく格調高い指揮に見事に応えている。実力に定評のあるこの合唱団だからこそ応えることができたのであろう。日本の合唱団では絶対に不可能である。
ただ、聞く際にはしっかりとならすオーディオを用意してほしい。声の響きが重厚なため、低音が不足しているオーディオセットでは音がぼやぼやした演奏に聞こえてしまうのだ。これではこの演奏の素晴らしさを実感することはできない。
とにかく手に取って聞いてみてほしい。ロ短調ミサの素晴らしさに引き込まれることは間違いない。リヒター盤をしのぐ名盤であるといっても過言ではないと思う。
素晴らしいバッハの演奏に感動です
★★★★★
バッハの「ミサ曲ロ短調」は、バッハの曲の中でも最もよく聴く一曲です。
ジュリーニ盤は、昔からあることは知っていましたが、ようやく聴くことができました。若干、録音が遠い感じはします。ですが、ジュリーニが演奏しているバッハ、実に素晴らしいもので、感動しています。彼の「神」への最後の祈りになっているのではないか、と思いました。歌手も揃っていますし、管楽器、弦楽器のソロも良いですね〜。実に味わい深いバッハです。
私の愛聴盤になりそうな予感がします。
激安物件!
★★★★☆
他の方も書いておられるが、サントリーホールを扉の外で聞いたようなボケた音に難アリ。
演奏は言うまでもない、ただただ身をまかせるべし。
商品情報に大切なことが明記されていないが、これは「コンサートホールにおけるライブ録音」です。
つまり、教会でのミサではないということです。
「ベートーヴェン以降に発展した近代オーケストラ」が演奏しています。
しかし、私が購入した初出時は税込み5,000円でしたよ。
売れ残りのSBM盤だからかな?
安すぎてショックです...もうなんも言えねえ!
無人島にいや墓場に持ってゆく音楽とは・・
★★★★★
ジュリーニというひとはまえから好きだったけれど、この録音をはじめ、1990年代の彼の活動を録音で聴くたびにますます好きになった。きっかけはこのバッハのロ短調ミサ曲である。それにしても、なんという音楽だろう、こんなに歌わせているのにけして流麗な、いや、流麗過ぎる音楽にならず、音楽をすることの喜びにあふれているバッハ、わたしはジュリーニはナマで聴くことができなかった。もし、この音楽をバイエルンのヘルクレス大ホールで聴いていたら、その翌日に飛び降りて死んでもよい、そんなふうに思うことにもなったろう。クレドの音楽の素晴らしさ、オーケストラが控えめだけれども、ジュリーニの音楽を奏でている。この、ドイツの放送局のオーケストラでは最上の楽団が、いつもは指揮者に忠実とは言えないのにこんなに指揮者の音楽を奏でているのは、ちょっとわたしには驚くことだけれども、もし、無人島に島流しにされるのであれば、このディスクとリヒターのマタイ受難曲、それに、グルダの弾いたベートーヴェンのピアノソナタを持ってゆくだろうし、人生の終わりにこのバッハを聴くことができたら、そしてその音楽に召されて魂が燃え尽きたらどんなに素敵なことだろう。