アルファ碁（AlphaGo）を開発したGoogle DeepMind社が2017年10月にアルファ碁ゼロ（AlphaGo Zero）の棋譜を公開しました。過去の棋譜を学ばないで、純粋に自己対戦だけで学習し、進化させたもので、文字通りゼロからスタートした囲碁AIです。対戦相手は、2016年3月に李世乭九段に４勝1敗、2017年1月に世界のトッププロ相手に60連勝、2017年5月に柯潔九段に3連勝したアルファ碁マスター（AlphaGo Master）です。アルファ碁マスターの自戦対局の棋譜は、2017年5月に棋譜公開されました。（こちらは、2017年6月発行の拙書「囲碁 AI対AI怒涛の50局 見どころ集」で紹介しています。）
この時も、その棋譜の斬新さに衝撃を受けましたが、今回は、アルファ碁マスターとその先を行くアルファ碁ゼロとの対戦棋譜です。従来のアルファ碁マスターの強さを凌駕し、この公開された20局の対戦成績は、アルファ碁ゼロから見て、17勝3敗です。

本書ではこの20局の棋譜の見どころを一局毎に選んでいます。ハイライト部分を設問形式で示していますので、クイズを解くように読み進むこともできます。コミは7目半。奇数番号がアルファ碁ゼロの白番、偶数番号が黒番です。

従来のアルファ碁マスターの棋譜では、これまで人間の常識に存在しなかった着手を数多く見ましたが、今回のアルファ碁ゼロの棋譜はさらに、それが顕著になり、早い三々入りなど、常識にない着手が常態化しています。我々人間にとって、最善の着手を模索し、真理を求めるための気づきになるかと思います。
アルファ碁ゼロの着手傾向を分析した統計情報と合わせて、楽しんでいただければ幸いです。


1.AI特有の一手
2.AI特有の一手その2
3.手抜き
4.サバキ
5.策動
6.壁攻め
7.積極的
8.消し
9.仕掛ける
10.踏み込む
11.方向
12.我が道
13.荒らし
14.様子見
15.つかず離れず
16.サバキ
17.模様の接点
18.挟みに対応する
19.模様を消す
20.様子見

統計情報
1.勝率
2.手数
3.すべて二連星
4.すべて早い三々入り
5.アルファ碁ゼロ　白番の布石
6.星の新定石

参考メディア

おわりに