ボルネオのジャングルガイドの中で、素晴らしい実用性を持っている唯一のガイドブック。巻末の「動物の足跡実物大」の特集も泣かせるが、「ヒルよけソックス」の作り方に至っては、採寸から始まって至れり尽くせりであります。装備的なアドバイスが、一般論的じゃなくて、とても良い。見るべき動物、見れる動物もばっちり。他のジャングルでも、この装備は使えそうですが、ボルネオのジャングルツァーに行くならこの一冊といえそうです。

ボルネオ島（とくに一般の人でも行きやすいマレーシアのサバ州と，ブルネイ）の自然全般についてたいへんわかりやすく書かれています。さらに最新の情報が掲載されていて，すぐにでも旅に出たくなります。動物学者である安間氏の「２１世紀初頭のボルネオの自然の様子を後世に残さなければならない」という情熱が伝わってきます。学者である冷静な眼差しは，同時に，野生動物に対する愛情にあふれていることがわかります。読んでいて「ボルネオに行ってみたい。躍動する自然に触れてみたい」とワクワクしました。人間は野生動物とどのように関わって生きていくべきか？　自然に対して謙虚であることの大切さを感じさせられる良書です。