ミステリアス・アダムス
★★★★★
アダムス、ズート・シムズ、トミー・フラナガンといった面子から、穏健な内容を想像しがちですが、さにあらず。それは、エルヴィン・ジョーンズのドラムが飛沫を上げてバンドを鼓舞しているからです。しかもありきたりなスタンダード曲でなく、ジョー・ヘンダーソンのオリジナル曲のように挑戦的な選曲により、シムズのテナーやフラナガンのピアノがミステリアスな影を帯びています。その中で、アダムスのバリトン・サックスがフィーチュアされるバラード(6曲目)の美しいこと。ジャズの潮流が混沌とした1969年に、こういう作品が生まれたことは意義があると思います。