何の変哲もないある中世ヨーロッパの政略結婚の話を知りえた内容のまま、極力飾らずに記そうと思う。事情があって、登場人物には名がない。

ある湖のほとりに建つ立派な城で唯一の子である姫は、家のため、領民のために政略結婚で大国の王子を迎えることとなった。立派な城で政略結婚の用意が進められていたさなか、王が病死してしまう。
残された姫には自分が何とかするだけだとわかっていた。だが、心配がひとつだけあった。「もし相手の王子が無能であったらどうしよう。この手で殺すか、病気を装って毒殺か」そこまで追い込まれた姫と、外から迎えた王子の結婚が早急に執り行われ、二人は王と王妃になり、新しい政治体制が始まるのだが……。

それぞれが背負う責務と個人の感情。子ができればすべて解決できると思っていた二人は、よくある政略結婚の末路へと突き進んでいく。