時代の奔流と一外交官
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氏は戦前、戦中の日本の外交官として活躍しました。
彼の記述にはイギリス、アメリカ、メキシコ、中国、ブラジル、ビルマと多種多様な国々の様子が細かく描かれています。
特に、中国における満州事変や日中戦争などの記述は貴重な史料となるでしょう。
また、ビルマでのバーモー氏との逃避行の様子は生々しくも人間バーモーが描かれており、とても参考になりました。
この本では、『中日事変』と表記されていますがこの回想録が書かれた当時はこの表記が違和感無く使用されていた時代背景を鑑みるとこの表記は特に問題ないと思います。
たとえば、東京裁判での岡田尚証言人も中日と呼んでいます。
他にも、軍部の暗躍や軍司令の無能、広田弘毅氏についての記述も興味深く、昭和史の研究においては是非一読すべき内容になっています。