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明治・大正・昭和政界秘史 (講談社学術文庫 (619))

価格: ¥1,523
カテゴリ: 文庫
ブランド: 講談社
Amazon.co.jpで確認
従来のイメージを変えてくれた作品 ★★★★★
教科書で習う日本史はどうしても事実のみを抽象的に覚えるだけになってしまう。
なのでたとえば「第三次桂太郎内閣は大正政変で多方面から非難され早々に辞職した」とおぼえると
桂太郎=悪人 といったイメージがつくられやすい。
しかしこの本を読むことで桂太郎や著者若槻らのイメージががらっと変わった。
さらに彼の大蔵省時代の記録を読めば、そこから戦前の官僚・政治家の信頼関係なども読み取れたりする。
ただ1949年という占領下において書かれたものなので、東京裁判などに関する記述は少ないし、これが本音なのか定かではない部分もある。
非常に読みやすい ★★★★☆
とにかく、文章が読みやすい。
物の見方が冷静で穏当、そして描写は具体的で明瞭なので、
すっと頭に入る。
内容も、歴史的な話から交遊録的なものまで幅広い。

小見出しもうまい。

西園寺公の大喝 -第一次西園寺内閣-
抱きあって泣く元老 -第二次桂内閣-
大隈の口、山県の耳 -大隈内閣-
原、加藤の対立 -原内閣-

といった具合である。
関心のある人物が載っていれば、
気軽にめくってみるとよいと思う。

こういう本こそ、
できれば商品ページに目次を掲示して欲しいと思うのだが。
興味深い ★★★★★
第一次世界大戦のころを読んでみた。
いろいろと知らないことが書いてあった。
清浦内閣が組閣に失敗したのは、海軍大臣を得られなかったからだ・・・。
また、大隈内閣の内側からの記述が興味深い。
加藤高明外務大臣と、参戦の経緯。
21か条と元老とのやりとり。
大浦事件についての身内からの描写等々。
座右において時々参照したい本だ。
明治・大正・昭和政界秘史 ★★★★★
 若槻礼次郎といえば高校で、日本史を専攻した人ぐらいしか知らないだろう。しかし彼は、二度にわたり内閣総理大臣を務めた経歴を持つ。当時、超一流の政治家だった。そして彼によって書かれた本書もまた超一流の歴史資料である。あるいは純粋にサブタイトルにならい、回顧録ということもできる。要するに、どちらにとることもできるということは、それだけ若槻がすごい政治家ということの裏返しととれる。
 「ばんざい」の由来から始まって、大隈重信、原敬、桂太郎、西園寺公望、浜口雄幸、吉田茂、鳩山一郎、近衛文麿、東条英機など。本書に出てくる人物は聞いたことはある人ばかりなのだが、肝心の若槻がもっともマイナーである。そういうちょっと影がうすい。しかし、超一流の政治家である彼の残した本書は、歴史の舞台裏を若槻が冷静に書いたまさに秘史録である。
 戦前からのえらい人にしては珍しいことに、文体も現代的で非常に読みやすい。
宰相経験者による貴重な回顧録 ★★★★★
はっきり言って、戦前の政治家の中で若槻礼次郎の存在感はかなり薄いと思う。政策や人間的魅力で注目を浴びることはなく、かと言って「帝国日本の悪の象徴」といったイメージで糾弾されるわけでもない。だがこの本の存在を軽く見てはもったいない。そもそも日本では、功成り名を遂げた政治家が後世の評価にも耐えるだけの資料的価値を持つ回顧録を執筆する伝統が、残念ながら存在しない。その中にあって戦前二度にわたり政党内閣を率い、その後は重臣として一定の重きをなしたこの人物による回顧録は、やはり貴重な資産だからだ。

島根の下級武士の家に生まれ困窮から中学を中退、一時は代用教員も勤めた若槻が、その後東京帝大・大蔵省を経て政党政治家に転進、ついに宰相の地位にまでのぼりつめてしまうというストーリーは、それ自体明治の立身出世主義の体現として面白い。政治史との絡みで特に興味深いのは、南満洲鉄道株式会社設立の経緯・桂太郎渡欧の狙い・第三次桂内閣総辞職の舞台裏・ロンドン軍縮会議の様子などについてそれぞれ回顧した部分だろうか。
解説で伊藤隆氏が指摘するように、若槻の文章は抽象性を排し実際的で飄々としたものなので非常に読みやすい。自らの若い頃についても衒うことなく若干のユーモアも漂わせながら率直に書き綴っていることに、多くの人が好感を持つのではないだろうか。ただ一方で、若槻は朝鮮統治や対外戦争がもった意味についてはほとんど無頓着なように見える。これを伊藤氏のように「戦後の価値観で戦前を見ようとしていない」と好意的に捉えるべきなのか、議論の分かれる点だろうが、とりあえずまずは多くの方に一読して頂きたい一冊。ちなみに内容の多くは、1949年から翌年にかけ、最晩年の若槻が雑誌に連載した文章が元になっている。